小説3

□安達さん、リクエスト。
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安達さんはもう、僕の耳にくっつきそうなところで言います。鳥肌が立って震えてしまいました。

「違います…僕、感じていません…」
「気持ち良くないかい?」

僕の手を柔らかく握って、安達さんはそれだけで僕を動けなくしてしまいます。

「ここは?」

耳をぺろりと舐められます。

「あっ…安達さん…」
「感じるんだろう?ああみっちゃん。君のその愛らしい顔も声も体も、私だけのものじゃないなんて。君は可愛い顔をしてなんと残酷なんだろう」

安達さんの声は、言葉に反して穏やかで、じっと見上げてみると、やはり彼の顔は大変にうつくしいのです。

「僕は、あの、その」
「さあさあ。その安っぽいお洋服を早く脱ごうね」

言い方が多少引っかかりましたが、僕は動揺していたのかすぐに服を脱いでしまいました。

「そしてこれだ」

安達さんは、僕のベッドの下から何やら箱を取り出しました。何かお菓子の箱のようですが、中でゴロンと重そうな音がしました。

「それは?」
「これでとりあえず、みっちゃんがいなくても私は寂しくなくなるんじゃないかと思ってね」

安達さんが得意げに取り出したのは、ビデオカメラでした。

「安達さん、僕、ちょっと意味が」
「ぽかん、と音がしそうな顔をしているね。はは、君のそういう勘の働かない鈍い阿呆なところも愛しているよ」

さっきから、安達さんの言い方にトゲがあるような気がしますが気のせいでしょうか。

「みっちゃん、さあ、挿れますよ」
「あっ、安達さん、ひやっ!冷たい!」

安達さんは僕の脚を思い切り開いて、ビデオを片手に、何か冷たくて硬いものを僕のお尻に入れたのです。

「ああそうだね、少し温めておいてあげるべきだった。まあ、仕方ないね、我慢なさい」
「やっ!安達さん、何を」
「さあさあもっと声を出したまえ。君の声も姿も、計16台のキャメラがしっかりと記憶しておいてくれるよ」
「16台?カメラ?」

そして安達さんは、何かのスイッチをカチッとしました。

「やあぁん!」

僕は思わず声をあげました。だって、お尻の中で何かがぶいーっと震え出したのです。

「ああ、どうしたものか。もう射精をしそうだよ私は。我ながら全く、みっちゃんのこととなると我慢のきかない体だ」
「やあぁ!抜いて、取ってぇ、安達さん!」
「おほほ、涙目だねみっちゃん。ああ、はぁ、はぁ、いいね、最高です」

気持ちいいのかくすぐったいのかわからないような感覚の中で目を開けると、安達さんは自分のペニスをこすりながらカメラで僕を撮っています。

「やっ、恥ずかしい…やぁ…あだちさん、止めてください…」
「はあ、そう、それそれ、もっと嫌がって。恥ずかしい顔を見せてご覧、はぁはぁはぁ、みっちゃん、いいよ」
「取ってぇ…」

僕が自分の穴に手を伸ばすと、安達さんに手の甲をぺちんと叩かれました。

「こら。お行儀がなっていないね」
「お行儀?」

こんな脚をおっ広げたような体勢をさせている人の言葉ではありません。

「私の許しがあるまで取ってはいけません」
「撮らないでください…」
「そう。取らない」
「違う、あの、カメラをっ、ぁんっ」
「ああ、キャメラかい?これが嫌なの?」
「だって…恥ずかしいです…っくぅ」

お尻がむずむずして、なんだかもう我慢が出来なくなりそうで、股を閉じてクネクネしてしまいました。
安達さんはそんな僕をうつくしい顔で見つめています。

「これをやめる…うーん、それはなかなか難しい相談だが…他のを3台止めるから、ハンディは残してもいいだろうか?」
「他の?3台?」
「あらあらみっちゃん、君、人の話はちゃんと聞きなさいね。さっき言っただろう。部屋中に15台のキャメラを隠してあるんだ」
「あっあっあっ安達さんのばかぁ!何してるんですか!人の家で!」

部屋に入った時の違和感はそれだったのかと合点がいきました。安達さんは眉をしかめています。


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