小説3

□森田と岡崎14
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聞きたいことがたくさんあって、でも、今してほしいのはそんなことじゃない。

「森田さん、俺のこと、抱きたい?」

すでに息が上がっていて、苦しい。酸素が足りない。

森田さんがごくりと唾を飲むのがわかる。それくらい近い。

「………ん」

言葉ははっきりしなかった。
でも、森田さんははっきり、首を縦に動かした。

だめだ俺やばい。我慢できる気がしない。速攻イきそう。どうしよう。

そんな心配を知らない森田さんが、俺の頬に手をやり、そっとそっと、キスをしてくる。
角度を変えて、またキス。

「ふ、ぁ…ん……」

ほらな。もう。キスだけなのに。声が出ちゃうし。目を閉じて、森田さんをなるべくゆっくり感じる。

森田さんの手が頬から少し下がる。
首を撫でる。喉仏をくりっと触られる。
唇にキス。
鎖骨、肩を撫でる。
また鎖骨。
唇にキス。
鎖骨を撫でる手の、小指だけ、少し下に下がる。
キス。
手が鎖骨から離れる。下がって行く。
キス。
舌が唇を舐める。
俺も舌を伸ばして絡める。
Tシャツを捲り上げることはなく、あくまで肩口から下がる形で、一番下にある小指が、もう少しで、乳首に。

「あっ…」

まだ触れられてないのに、もう少しだと思っただけでもう声が出る。

森田さんの呼吸が少し乱れる。
興奮してる?俺の声で?

「触って…お願い…我慢できない…早く…!」

待てない。
でもすぐ終わっちゃいそうで怖い。
悪魔と天使が戦うような内心を自分で感じながら、俺の手は勝手に動いて森田さんの前に伸びる。

「…は…え……すごい…」

感想がダダ漏れだ。

森田さんの脚の間、触れたそこはまだやわらかで、それでもちょっと想像していたサイズとかけ離れていた。

びくっと体を震わせた森田さんは、一呼吸置いてから、俺の乳首に触れた。

「あぁ!っん…」
「ごめん、俺、岡崎さん…すみません…」

何を謝ってるのかちゃんと聞いて、大丈夫だよって安心させてあげたいけど、そんな余裕はない。
股間が痛くなってきた。

「もっと、して?」

早く、もっと俺の声聞いて、森田さんももっと固くなればいい。

丁寧で慎重な手つきで、森田さんはゆっくり俺の服を脱がせた。下着一枚になった俺は、自分の体に森田さんの視線が注がれてると思っただけでもうイきそうになってしまう。

「森田さんも脱ぐ?」

うん、と小さく返事をした森田さん。かわいくて仕方がない。

森田さんの上半身。初めて見る。暗闇に浮かび上がる、うっすら割れた腹筋と、毎日重いものを運んでついた、肩や腕の筋肉。

「やばい…やばい…」

呪文のように繰り返しながら、目を逸らしてしまう。

「嫌じゃ、ない?」

森田さんが聞く。

「嫌じゃない。全然。早く触ってほしい。ぎゅってして」

腕を伸ばすと、森田さんがゆっくり覆いかぶさった。

あったかいな。肌が、すべっとして、俺のとくっついて、少し汗もかいてて、吸いつくみたいに。

「ああ、…ん…森田さん…好き」

肌が触れただけで濡れた声が出る。

森田さんの手が、ゆっくり動き始める。脇腹を撫でる。

「は、あっ」

一旦腰に下りた手が、するりするりと肌を確かめるように動いて、腹から胸へ上がってくる。

「んっ、やぁ…あ…んんっ」

スイッチが入ったみたい。
感じやすい俺の体は、少しの刺激だけでびくびくと波打つようになってしまう。声も出るし、もう腰も動いちゃう。

唐突に、乳首に濡れた感触。

「ああっ!」


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