小説4
□真夜中の表情は
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夜中に目が覚めた。
完全に飲みすぎ。すでに頭が痛い。
自分ちの天井がすごく高く見える。部屋の電気は消えていて、薄ぼんやりとわかる程度だけれど。
内定もらってから、遊んでばっかりいる。
だってもう、こんなに自由な時間はじじいになるまでないんだ。たくさん思い出作って、大事にする。
柿崎と野村は東京に行っちゃうし。
昨日はいつもの4人で飲んで、なんだか忘れたけど息できないくらい笑って、飲みすぎて、途中から記憶が無い。
暑いからビールが異常にうまかった。
ふぁー、とあくびをして隣を見ると、死んだように動かない相内。
「幸せ!なあ、俺幸せだよ!目が覚めたら隣に相内がいるなんてさー!同棲したら毎日こうなの?信じられない!」
俺の声にびっくりしたのか相内がぱっと目を開ける。
「…うるさい…」
「愛してるよ」
「寝ろ」
「相内のアイは並木愛してるのアイってことでいい?」
「寝ろ」
「寝てたよ、今まで」
「まだ寝ろ」
「起きようよ、飲み直そう?ダメ?」
「…まだ酔ってるな」
「相内ー」
抱きつこうとしたら、顔を手で押しのけられた。ひどい。
「朝まで寝なさい」
相内の目はいつもの半分くらいになっている。眠いのかな。
「前から思ってたんだけど、俺お前に叱られるのすげえ好きかもしれない、どうする?」
「…上目遣いで言われても」
「もっと叱られたい」
「…その話はまた明日…」
ああ。相内、寝そう。
「寝るの?」
かすかに頷く相内。
「明日、大学ある?」
今度は横に首を振る。
「バイトは?ある?」
縦。
「バイトまで遊べる?」
縦。
「かわいいね」
縦。
「あはは。かわいいんだ。うん。確かにかわいいよ。相内って男のくせにこの世の奇跡」
寝入った相内のほっぺにそっとキスをする。
肌もつるつるだ。色が白くて、眼鏡が似合って、まつ毛が長くて、女子にモテて、俺のもので。
「あー。勃起した」
どうしよう。
と迷う隙もなく、俺は股間に手をやる。
パン一で寝たみたいだ。
固くなったそこをパンツの上からさわさわ撫でると、ピクっと持ち上がる。
「ん…」
少し声が出た。相内は目を閉じて寝息を立てている。
躊躇なくパンツの中に手を入れて、ゆっくり扱く。
ああ。相内が寝てる隣でオナニーなんて、どうしたって気持ちいいに決まってる。
悪いことをしてる。見つかったらどうしよう。怒られる。怒られたい。
「…は…ん」
これ見たら相内なんて言うかな。
まず目を見開いて、口をパクパクさせるかも。
怒りで目が据わるかもしれない。
「はぁ…っ、あ…」
やばい。気持ちいい。
ガチガチになってしまったペニスの先端を、親指でくりくり撫でる。ぬるぬるしてきた。
相内の顔を見る。寝てる。
かわいい。かっこいい。大好きだ。早く同棲したい。部屋の半分が相内の私物で埋まるんだ。どうしよう。そのひとつひとつで1回ずつオナニーできそう。
「やべえ…」
俺は変態か。
ああ。すっげ、気持ちいい。
「あいうち…」
「何」
あ?
「ああ、っ、やべ、いく、イ、っ」
目を覚まして半目で俺を見る相内。その顔を見ながら、パンツの中に勢いよく射精した。
「いく…?ってお前、何して、」
タオルケットをバサッとめくられ、パンツの中に手を突っ込んで腹筋がびくんびくんしてるところを完全に見られた。
なにこれ。死ぬほど気持ちいいんだけど。
「ごめ、ごめんなさい、相内、俺、」
叱ってください。こんな悪い子、どうぞ叱りつけてください。
相内は呆然として俺の股間を見てる。パンツが濡れていく。ベタベタする。
ふんっ、と息を吐いて、相内は体ごと向こうを向いてしまった。タオルケットをかぶり直している。
「相内?怒った?怒って?」
パンツから手を出して相内の背中ににじり寄る。少し迷ってからテイッシュで手を拭いて、それから相内を抱きしめた。
「なあ、放置?放置もいいね?」
はー。何されても幸せで俺は本格的に頭が湧いたのかもしれん。
俺に抱かれてひくりと動いた相内の体に、いい予感がする。
「相内?もしかして相内もしたい?」
背中で拒否する相内。
片手をその股間に移動させた。