鬼灯の冷徹

□『の始まり』
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【人形】
木・土・紙などで人の形に作ったもの。
主に愛玩・装飾用。


【土人形】
ここの場合では土偶又は埴輪(はにわ)のことです。

※西洋にも土を使った“土人形ーゴーレムー”が存在しますが、こちらの話は別物になります。





の始まり』






昔々の本当に遠い昔、元黄泉の女王・伊邪那美命が黄泉へと降(くだ)りて、地獄の閻魔大王の初代“第一補佐官”をしていた頃のお話。




1人の“火の神”の柿助という者がおったそうな。



彼の火の神は、かつてイザナミが最後に産み落とした神々達の内の1人であった。


しかし、彼は物心のついた頃から1人きりだった。


そして何時からかはもう覚えていなかったが、彼は思っていた―――





“寂しい”と―――‥







「―なんか寂しいな‥って、なんでだよ!!」


「なんかどっかで見た事ある展開なんですけども!?」などとほざきやがる猿――いや、彼は兎に角“寂しい”と嘆きます。

「アレ? 鬼灯様!? なんかちょっと面倒くさくなってきてません!?」

『五月蝿いですよ柿助さん。 ページもおしてるんで無駄口を挟まずちゃっちゃか進めて下さい』
「あ、すいません‥。」


「あ〜といってもなぁ…。 確かに此処何も無いし寂しいっちゃ寂しい、よな。」


そう言って彼は一つ溜め息を吐き、その場によっこらしょと座った。

何も無い。 何一つ見当たらない。

いや、正確には荒野の大地と空と何処までも続く地平線ばかりだ。

朝がきて陽が昇り、それは夕闇と共に沈み、夜の間は余計寂しくなる。

こんな所に‥こんな寂しい場所に自分たった一人だけ。



寂しい寂しい。





誰も居ない。 他には誰も―――





「あ、そうだ。 なぁんで今まで気付かなかったんだろ。」



誰も居なくて寂しいなら作れば良い。


「先ずは材料集めからだよな」

そう言って一人思いたったら吉日と彼は早速行動を開始しました。



手始めに彼は土を集めました。


なるべく軟(やわ)らかくて扱い安く、ただしあまりにも軟らか過ぎると形が崩れて元も子もないので、丁度良い具合に硬めのものを。

同じ色のモノでは味気ないのでいろんな土色を。

次には土を入れて置いた器に水を入れました。

土形作るのでなるべく清い水を沢山集めました。
 

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