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□棗 中編小説 神社で願う、恋心
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第四幕 神社で願う、恋心
「着いたぞ」
藍の耳元で、棗が囁く。
「ん…」
藍が瞳を開くと、棗の顔が間近にあった。
「な、つめ、さ…っ!?///」
藍は驚いて、頬を薄く染めた。
だが棗のリアクションには余裕があり、藍の頭を優しく撫でた。
「悪い、びっくりさせたな」
棗の切れ長の瞳が優しさで染まり、低い声は藍の心に響く。
そして藍は、はっとする。
「すみません、寝ちゃって…」
藍は肩をすくめる。
「いいよ。それくらい」
「でも…」
「気にするな。それに」
「?」
藍は恐る恐る、棗を見る。
棗は意地悪っぽく笑っていた。
「起こすのも悪いなと思ったし、寝顔も中々、可愛かったぞ?」
彼は藍の髪を一房指に絡める。
「ななな…っ!?///」
ぼんっと、藍の顔が真っ赤になる。