MAIN 2
□エルエルフ 長編小説2・第一幕
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第一幕
つい先日、結婚式の神父を務め、
総理の補佐として働く日々。
久々の外出で街を訪れると、
以前は無かった活気が街を賑わしていた。
ジオール。
今はここが俺の居場所。
俺自身が望んで、ここにいる。
失ったものは多く、その傷が完全に癒えたわけではないが、
今は前を向いて進んでいくと、この心に誓った。
「あ、すみませんっ」
「っと…」
ちょうど曲がり角で、誰かとぶつかる。
俺は咄嗟に誰かを支える。
「大丈夫か?」
「はい、前を見ていなくて、すみませ…」
女が俺を見上げる。
なんだか見覚えがあるような気がした。