記念作品

□姫様9000人突破記念
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「総司さん、どうしていつも、

そんなこと聞くん…聞くの?」


相変わらず敬語の癖が抜けないようだ。

付き合うようになってからは、敬語は嫌だと、僕が頼んだ。

百歩譲って、呼び方だけは、さん付けで許した。


「何でかなぁ…?

君が僕を好きでいてくれてるのか、確認…とか?

僕にもよく分からないや」


そう言うと、さらに困った顔で僕を見つめる。


「そんなことしなくても、私は…」


言いかけて、君が口をつぐんだ。

その続きが聞きたくて、僕は急かした。


「私は、なに?」


君は僕のカーディガンを掴んで、

そこに顔をうずめた。


「私は、総司さんが…。

大好きです、嫌いになんてならないし、なりたくない…です」


どうしても敬語が離れない君に、

僕はそっとキスをした。

触れるだけの、優しいキス。


「…好きだよ、ずっと。

君のことが、大好きなんだ。

お願い、どこにも行かないで。

僕の傍で…。

どんなことがあっても、守るから」

「総司さん…」


柄にも無く、真剣に告げてしまった。

君は深刻そうに、怪訝な顔で僕に問う。


「何か、あったの?」


特別、何も無かったけれど、僕は微笑んで返す。

君は何かあったと思って、僕の首に腕を回した。


「どうしたの、急に」


僕は、とっても愛おしく思えて抱き締め返した。

君は震える声で僕に言う。


「総司さん、私は…。

何があっても離れません。

だから、何かあったなら話してほしい。

ちょっとでも力になれるように、がんばるから」


まさか、涙目になってしまうなんて思わなかったから、

僕は慌てて言ったんだ。


「何も無いよっ?

大丈夫、何か相談したくなったら、僕はちゃんと君に言うから。

だから君も、何かあったら、僕に相談してね?

僕だって、君の力になりたいからさ」


そうして僕は、さっきよりも強く君を抱き締めた。


「笑ってくれたら、嬉しいな。

辛い顔をさせてしまって、ごめんね」


暖かくて、小さくて、愛しい君を。

この腕の中に閉じ込めた。


「どんなことがあっても、離さないから。

覚悟して、付いてきてね」


ちょっと意地悪っぽく言ったのに、

君は嬉しそうに答えた。


「はい、離れません」
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