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□エルエルフ 長編小説2・第二幕
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「よし」


出来上がった文書を、手早く相手国に送信し、

何ヶ国も送らねばならないので、

同じ文書を違う言語で再び打つ。

全てが終わってから、次の仕事に手を付ける。


「総理は今、上空か…」


自分の仕事部屋に戻り、上着を取って廊下を歩く。


「俺が戻ってくるまで、ここは任せる。

すぐに代理を帰すから、使って構わない」

「承知いたしました」


エルエルフは直属の部下にそう告げて、

車へと急ぐ。

エンジンをかけて、急発進させて、空港に向かった。

エルエルフは政府要人特権を使い、

目的地への飛行機に乗り込んで、

総理の居る地へ、飛び立った。


「…総理、お疲れ様でした」

「ううん、大したことないよ。

大丈夫、慣れてきたもの」


会議は夜遅くにまでなり、

それでも自国へと戻るために、

飛行場へ急いだ。


「指南総理と、その補佐だ。

早急にジオールへと戻りたい」

「かしこまりました、パスポートを拝見させていただきます」


手早く手続きを終えて、総理の下へ急ぐ。


「すぐに出発だ。

荷物はそれだけか?」


小さなかばん一つを持った彼女は、座っていた椅子から立ち上がる。

ショーコは頷いて、笑った。


「長居はしないよ。

向こうに仕事が残っているんだから」

「ああ、そうだな」


ショーコが前を歩いて、

エルエルフがその少し後ろを歩く。

公の場以外でエルエルフは全く敬語を使わず、

ショーコも気にしない。

彼らの関係は、複雑なものなのだろう。
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