MAIN 2

□エルエルフ 長編小説2・第二幕
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「総理、着いたぞ」

「ん、了解…」


ショーコは飛行機の中でうとうとと眠っていて、

身体が固まってしまった。

ばきばきと音を立てそうな身体を伸ばして、

着陸を待つ。


「総理、記者が押し寄せているようだ。

コメントは何もするな。

後が面倒になるだけだ」


エルエルフは携帯を閉じると、

舌打ちをする。


「面倒な…」


そんな彼を見て、ショーコは苦笑する。


「そういえば、この間の…藍ちゃんだっけ。

何か進展した?」

「は?」

「は? じゃないでしょ。

この間一緒にお茶したって、自分で言ったじゃない。

その後はどうなの?」


ショーコはおどけた表情でエルエルフをからかう。

しかし、エルエルフは動じずに、しれっと返した。


「進展も何も。

この忙しいときに、呑気にしている時間なんて、あるわけがない」

「ええぇ…」


ショーコは心底がっかりして、

エルエルフをじとりと、睨んだ。


「連絡もしてないの?」

「そんな暇があったら、文書を一つ仕上げられるからな」


ショーコは冷たいエルエルフに一言言う。


「時間が取れなくてごめん、もう少しかかりそうだ。

…ぐらい、メールで送ってあげればいいじゃない!」

「……そういうものか?」


むむ、と考えるエルエルフに、ショーコが肯定を表す。


「そういうものです」


エルエルフは少し考えて、

自宅に戻ってから、一通のメールを藍に送った。

『遅くなって、すまない。

まだ仕事のメドがつきそうにない。

もう少し、時間が欲しい』

送ってから、誘いのメールでないという謝罪が抜けていたことに、

CONPLITE が表示されて、気づいた。
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