Selfish girl

□私だけのお兄ちゃん。
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いい匂いがする…
トーストに、
スクランブルエッグかな?
あ、ベーコンの匂いがする。
この音は野菜を切る音かな?
てことはサラダ…
野菜は嫌いなのに…
それにまだ眠い…
もう少しだけ…











「おい、起きろ。
朝食ができだぞ。」


うーん…


「おい。」


うるさいなあ…


「起きろと言っているのが聞こえないのか?」


『…あと五分…』


「お前のあと五分はあと五十分の間違えだろ?
いい加減起きろ、朝食が冷める。」


『…んーじゃあ食べさせてぇー』


「…(怒)」




バサッ







『さーむぅーいー』



どうやら布団をはぎ取られてしまったようだ。
寒くて仕方ない。
少しでも暖をとろうと身を縮込ませていると、
頭上からとても不機嫌そうな声。



「ほう、起きないんだな?
それならお前の分の朝食は無しだ。
今日はデザートにお前が好きなアロエヨーグルトもわざわざ買ってきてやったのに残念だな。」



アロエヨーグルト…食べたい…


『やだぁ…』


「じゃあ今すぐ起きろ。」


『じゃあ手ぇ貸して?』



そう言うと溜め息をつきながら、
私を引っ張り起こしてくれた。
そして、
手を引っ張られながら洗面台へ向かう。



「ほら、
顔を洗ったらすぐに来い。
飲み物用意しとく。
朝はホットミルクだったか?」


『うん。』




そして、
言われたとおりに顔を洗うとようやく目が覚めてきた。
それから大人しくリビングに向かうと 、
なかなか起きない私をちゃんと起こしてくれて、
尚且つ朝食まで作ってくれていた天使がいた。
顔は眉間にしわがよってて天使には懸け離れてるけど。




『おはよう、伸兄』


「やっと起きたか。」


『えへへ、ごめんね?』


「いいから、早く座って食べろ。」


『はーい♪』




メニューはさっき寝ぼけて考えていたのと全く同じ。
全問正解、流石私だ。
伸兄がバターを塗ってくれたトーストをかじる。



『美味しい♪』


「野菜も食べろ。」


『…やだ…』


「ヨーグルト。」


『…ドレッシングかかってない?
マヨネーズも?』


「見れば分かるだろう?」



私は意を決して比較的苦手じゃない、
キュウリから食べる。









『ごちそう様でしたっ♪』


うん、
やっぱり伸兄が作るご飯は美味しい♪
ルンルンしながら、
食器を台所に運んぶ。
洗い物をしてる伸兄に代わろうか?と尋ねると、
いいから着替えて来い
と言われたので伸兄大好きありがとうと言ってその場を去った。







身支度を整え伸兄の車に乗り込む。
何度も、
『ねぇ変じゃない?』
と聞くと、
「安心しろ、なまえはいつでも変だから。」
と言われたのでちょっぴりご機嫌斜め。
それにようやく気づいたのか、
それとも気づいててあえて無視し続けていたのか、
あまりにも長くむくれていたので、
伸兄は、
「あんまりそんな顔していると、
眉間にしわよるぞ。」
と頭をポンポンとしてきた。
その言葉、
そっくりそのまま返してやりたかったが、
(いや、むしろもうしわよってるけど)
珍しく笑顔を見せてくれたので、
寛大ななまえちゃんは許してあげることにした。




『ねぇねぇ伸兄、
そろそろ職場にどんな人がいるか教えてよ!』


「…見れば分かる。」


『え〜!
それじゃあ事前にどうやって接したりしたらいいかわかんないじゃん…』




そう、
何を隠そう私は今日から晴れて伸兄と同じ監視官になるのだ。
伸兄には散々反対され続けてきた。
くる日もくる日も監視官はどこがどう危ないのかを永遠と語り聞かされてきた。
お陰で監視官のマイナスポイントについてはバッチリ学習済みだ。
でも伸兄はなんだかんだ優しいから、
私が本気だと言うことが分かると、
忙しい仕事の合間にわざわざお家に来てくれてちょいちょい私の勉強を見てくれていた。



伸兄の仕事についてと尋ねると、
事件の内容とかは絶対に教えてくれなかったけど、
監視官の《コウガミ》さんと、
執行官の《ササヤマ》さんの話をしてくれた時もあった。
口では悪口ばかり。
でも伸兄は気づいてないだろうけどその2人の話をする伸兄はなんだか楽しそうだった。
しかしある時を境に、
その仕事の話所かその2人のすらしてくれなくなったのだ。
だからきっと何かあったのだろう。
私はそれ以上深く追求しなかった。
しかし、
いざ働くとなったら別だ。
どんなことでも情報はないよりある方がいいに決まってる。
1人そう思いふけっていると、

「…悪い奴らではない。
そんな力むな。」

と言われた。
うん、あの伸兄がそう言うんだもん。
きっといい人がたくさんいるに違いない。
私の胸は不安ではなく、
期待でいっぱいになった。






「それと、
職場では伸兄って呼ぶなよ。」


『えぇ!?なんで!?』


「何でもだっ!」






私だけのお兄ちゃん。
 

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