Selfish girl

□気になるお年頃。
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「……」


目が覚めたら俺の部屋とは違う天井。
…そうか、
俺は任務中怪我をして気を失ってしまったのか。
情けない。
ちゃんと身体を鍛え直さなくちゃな。
まだ多少痛む身体を起きあがらせようとした瞬間、




『ん〜…』




思わずギョッとした。
何故なまえが俺の隣で寝ている。
しかも同じベットで。
百本譲ってコイツが怪我をして隣のベットで寝ていたり、
わざわざお見舞いに来てくれてイスに腰掛けながら寝てしまったのなら分かる。
だが、
さも当然とごとく俺に寄り添ったまま寝ているなまえ。
こんな所宜野にでも見られたらとんでもない。




コンコン



「しっつれいしま〜す♪
お見舞いに来てあげたよ〜?
コウちゃん起きた〜?
…って何でなまえちゃんとコウちゃん同じベットで寝てんの!?」


「俺が聞きたい。」


「コウちゃん起きたのかよ!
おい、何〜?
コウちゃんだけズルいんですけど〜」


「俺に言うな。」


「ま、今日の所は怪我人だろうから許してあげるけどさ?
間違っても手、ださないでよね?」


「お前と一緒にするな。」


「コウちゃんもなまえちゃんのこと気に入ってるくせに。」


「…否定はしない。」


「ハァ。
やっぱズリィよコウちゃん。
俺達が応援で駆けつけたときなんかなまえちゃんに膝枕されてるし、
なまえちゃん、
『咬噛さんが怪我したのは私の責任でもあるから。』
とかなんとか言っちゃって宜野サンが無理矢理連れて帰ろうとしたのを必死で断ってココに泊まりがけでコウちゃんの様子見守ってたんだぜ?
あ〜あ、俺も怪我すればよかったかなあ?
そしたらなまえちゃんの膝枕に添い寝!!!
ウッハウハじゃん♪」


「そんなこと言ってると宜野にまた叱られるぞ?」




と、
口では言いつつやはり多少嬉しい気持ちもあった。
あの宜野に抵抗してわざわざ俺の所に来てくれたのはコイツらしいというかなんというか…
そう思っていると縢がとても深刻そうな顔で、
ところでさ…
と話かけてきた。
何かあったのだろうか?
俺はその言葉の続きを静かに聞いてため息をついた。











「なまえちゃん、
何色の下着つけてたの?」


「お前な…」


「それくらい教えてくれても罰当たんねぇよ!
俺昨日から気になって眠れないんだぜ!?
教えてくれないと宜野サンになまえちゃんとコウちゃんが添い寝してた〜って告げ口しちゃうよ?」



「おい、縢…」


「いいじゃん!ね?
絶対に秘密にするからさ!
コウちゃんも宜野サンになんか言われるの面倒でしょ?」




ったくコイツはなんて奴だ。
俺の見舞いに来たんじゃなくてなまえの下着の色聞きに来たのかよ。
俺はもう一度ため息をついて、
黒とつぶやくと





「…え、マジ?
ピンクとか白じゃなくて黒!?
え、何ソレ?
ギャップ萌もいいとこじゃん!
くっそ、見たかった…
コウちゃん勃った?」


「馬鹿」


「いや、
でもそんなん見せられて勃たない方がおかしいって!
なまえちゃん、
顔に似合わずそんな下着つけるんだ…
ヤベ、俺もうなまえちゃんのことエロい視線でしか見れない…」





いい加減にしろと言おうとした時ノックが鳴り誰かが入ってきた。
唐之杜かと思ってみたら大違い。
これは面倒なことになった。





「…おい、どういうことだ?」


「起きたらコイツが勝手に俺の布団に紛れ込んでたんだよ。」


「…」


「マジっスよ、宜野サン。
俺が来たときコウちゃん丁度起きたみたいでコウちゃんも驚いてましたから。」


「…ったくあのバカは。」


「可愛い幼なじみを持つと大変っスね?」


「バカな幼なじみの間違えだ。
ほらなまえ、起きろ。
着替え持ってきてやったぞ。」



宜野がベットに近づきなまえの体を揺らすが変化なし。
どうやらなかなか起きないタイプらしいな。



「爆睡っスねー。
初めての任務だったから疲れてたんじゃないっスか?」


「そうだな。
寝かせてやったらどうだ?
コイツ今日非番じゃなかったか?」


「…報告書をまだ貰ってない。」


「え、当日書かなかったんスか?」


「明日絶対出すから今日は咬噛の様子を見たいの一点張りだったからな。
幸い夜遅くの任務だったので期限は今日の夜中までだがな、
初めて書くタイプの報告書だ。
教えてやりながらだと時間かかるだろう?」


「なまえちゃんそこまでコウちゃんの心配してたんスね…
妬けるわ…」


「…ほら、いい加減に起きろと言っているんだ。」




今度はさっきより強く揺さぶった為、
んーとかうーとかのうなり声が聞こえ、
さらに布団をはぎ取ると、
『さぁむぅい』
と言って縮こまりあろう事か俺にすり寄ってきた。
この時点で縢は
「何コノ可愛い生き物!?コウちゃんチェンジ!!!」
と、まぁもうメロメロだ。



「なまえ、
今日の朝食はお前が好きな店のホットケーキを買ってきてやったぞ。」



『…ほっとけーき…食べたい』


「ちゃんと起きれたらな。」


『うぅ…伸兄手ぇ!!!』


「ハァ」




そして宜野に手をひかれてようやく起き上がったなまえだがまだ目をこすり眠そうにしていた。
しかし何時もの部屋と様子が違うのに気づいたのか、
あれここどこだっけ?
と言ったなまえに宜野が
咬噛の様子見るってきかなかったのはお前だろう
とまたため息をつくとハッとしたように咬噛さん!と叫んだのでなんだ?と返事をすると嬉しそうにこちらを振り向く。




『よかったあ…
目覚ましたんですね?』


「あぁ。さっきな。」


『お体痛くありませんか?』


「これくらいどうってことない。」


『よかったあ…
ごめんなさい、私を庇ったせいで…』


「いや、俺も油断していた。
まさかなまえの背後にもう1人隠れていたなんてな。
でもあの状況でよく俺が言いたいことが分かったな。
ダメもとだったんだかな。
もちろん伝わらなかったときの手も考えてはいたが、
結果一番良い形で終われた。」


『私達、
本当に相性いいのかもしれませんね?♪』


「そうだな。」



「ちょっとちょっと〜!!!
2人だけの世界に入ってないでさ、
何が起きたのか説明してよ〜!」


「…そうだな。
聞きたいことはたくさんあるが、
まずなまえは着替えと朝食だ。
唐之杜の所に行って温めてもらえ。」


『やったあ♪
ホットケーキ♪
でも伸兄が作ったやつもまた食べたいな?』


「…今度作りに行ってやるから今日はそれで我慢しろ。」


『はあい♪
伸兄ありがと、大好きっ♪
じゃあ行ってくるねー♪』



そうしてルンルンで去って行ったなまえ。
縢が宜野サンズルい…
と1人ごとのようにずっと呟いていたがガン無視で宜野は俺に話かけてきた。




「それで?
お前が怪我した理由と何故なまえが服を着ていなかったのか説明してもらおうか?」




この時の宜野はいつもり数倍眉間にシワがよっていたように見えたのは気のせいじゃないだろう。
俺はちゃんと昨日の出来事を説明した。



「対象とんだ変態ヤローじゃん。
絶対武器なんて隠してないの知ってて、
なまえちゃんが恥ずかしそうに服脱ぐの見たかっただけだって!」



それに関しても宜野はガン無視。



「では、
実際なまえには何もなかったんだな?」


「あぁ。」


「ならいい。」




宜野もなまえが心配だったのだろう。
もしも思い出したくもない最悪の被害があったときのためにさり気なくなまえをこの部屋から出したのだ。



「あ、宜野サンに1つ質問が…」


「?どうした縢?」




アイツに似合わない神妙な顔つきで質問してきたため、
宜野は少し驚きながら尋ねた。
おい、
このパターンさっきもあったぞ。
嫌な予感しかしない。
縢を止めようとしたが遅かった。













「なまえちゃんって、
いつも黒の下着なんスか?
やっぱピンクってイメージが強いんですけど…
まさか勝負下着!?」






この後縢は思いっきり叩かれ、
宿直の回数を地味に増やされ、
挙げ句の果てになまえとの任務はことごとく一緒にしてもらえなかったのは言うまでもない。





気になるお年頃。
 

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