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□一年物語
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【12月20日】


家庭科の授業中の事だった。


「昨日のTVみた!?」


「みたみた!!あれ面白すぎでしょ!」


「ていうかあの人はマジで神だと思った!!」


課題が終わった私と友達、それとA君とB君は仲良くくだらない事で盛り上がっていた。
家庭科室のテーブルの上にはまだ片付けをしてないせいもあり個人のシャーペンや消しゴム、定規が少し散乱していた。


「A〜、」


優しそうな少し低めの声が聞こえてくる。
私が知らない間に声変わりしたんだ...。


「どうした?」


「いや、ちょっと。あっ、」


何かに気がついたのかテーブルの上に置いてあった1つのピンク色の定規を持つ。


「お前、なんか顔変わった?」


一朗太君の目線は間違いなく私を捉えていて...。


「えっ、そう?」


「うん、だってこのプリクラ大人っぽいし。」


「そうかな?」


ピンク色の定規...、私の、プリクラが貼ってある定規。


「まっ、プリクラだからかもな。」


「なっ!!」


「じゃ、」


軽くムカつくことを言われテーブルから離れて行く一朗太君。
というか、なにしにきたんだか...。


【2月2日】


この月の最大のイベントと言えばバレンタインデー!!...ではなく私立受験。
受験生はバレンタインデーでウハウハしてる暇なんて正直な所ない。


「あーもうやばいって。」


約1ヶ月後に控えた公立受験の前に立ちはだかる私立受験は普通だったら合格するけど...なんかすっごい不安だったりもする。


「だーいじょうぶだって!私立は普通落ちないから。」


「なぁ、今年のバレンタインデー何だけど俺に勿論くれるよな!?」


「無理無理、そんな暇ないって。」


「えー、チョコ食べたかったのに。」


目的はチョコかよ...そう思いふざけてるA君をちらっと見た。


そう言えば、小学6年生から一朗太君にチョコあげてないな。
教室のドアの所で円堂君と話している一朗太君の姿を見る。


パチ...


「!」


まさかのまさかで目、あっちゃった...。
ここ最近一朗太君と目が合あう気がする。
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