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□一年物語
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【2月3日】
待ちに待った(楽しみではないけど。)私立受験の日。
電車で私立N高校に向かう。
社会のワークを見てると4ヶ月前の社会授業中に一朗太君と話した事が脳裏に浮かんだ。
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うそ、隣の席、一朗太君だ。
まさかの受験の時まで席が隣だとは...。ある意味恐ろしい。
「ねえ、鉛筆ってやっぱり必要だよね?」
私立受験はマークシート式なため鉛筆が必要と聞いた。
「あぁ、てか先生言ってただろ?」
「はは、確かに。」
緊張のせいで上手く笑えない。
それが今から始まる受験に対しての緊張なのか、それとも一朗太君と話している事に対しての緊張なのか......。
あとから考えてみると、あれはどっちだったんだろう??
【3月2日】
「あーやばいやばいやっばいよー!!」
「それ私立受験の時も言ってたよね。」
公立受験前日、あり得ない位の緊張感に襲われた私。
「てかそんなに緊張しなくてもさ。」
「A君は私立単願でもう受かったからいーじゃん!」
併願の私は、安心なんて出来ないし(私立は受かったけど。)。
卒業まであと1ヶ月もない。卒業したらみんなとはお別れ。
イコール、一朗太君ともお別れ。赤ちゃんの頃から一緒だったのにな。
なんだか少しさみしい。
私は私立受験の時にも見直していたあの社会のワークを再び開いた。
【3月3日】
公立受験1日目。
今日は筆記試験。
苦手な国語が意外と出来た。
塾でやった問題もでた。
社会は...まぁまぁ??
でも社会のテスト中にふと違う学校で一緒のテストを受けている一朗太君を思い出した。
【3月4日】
公立受験2日目。
昨日のテストの出来はまぁまぁ。今日は面接。
緊張し過ぎてなにいってるのか自分でも分からなかったし。
自分の番が来るまでの時間に少し一朗太君の顔が頭をかすめた。
って、私最近一朗太君ばっかじゃん。
【3月15日】
あった...。受かった...!
「おめでとう、よく頑張ったわね。」
先生から合格通知を貰う。公立高校合格発表当日。
合格通知を見た瞬間一気に肩の荷が落ちた。
ちらっと一朗太君の方を見ると私と同じように安心したように笑顔を浮かべていた。
合格した事は確かに嬉しい。
でも、その気持ちとは裏腹に中学を卒業したくないというきもちもあった。
「うわ、こんなに課題出てるし。」
「課題?」
「そ、合格通知の封筒の中に分厚いワークが5教科分。」
「うそ!...って、あれ?私の3冊だよ?国、英、数で。」
「えっ!?俺の高校の約半分じゃん。しかもお前の薄いし。」
「ラッキー!」
そう一朗太君と笑いながら会話出来るのもなくなると思うとなんだか複雑な気分だ。
一朗太君と私は違う高校を受験した。しかもかなり離れていて。
一朗太君は高校でサッカー部に入る筈だから、帰りとか遅いんだろうな。
朝は早いだろうし。
そしたらもう会うことはおろか見かける事も簡単には出来ないんだ。
「まぁお互い合格したし、結果オーライだな。」
「だね!」
そうだよね、いつかはサヨナラを言わなきゃいけない。
幼馴染だからってずっと一緒なわけないんだ。
とてつもなく胸が締め付けられる...。
これはなんなの?