拝啓霧野蘭丸様

□第5章
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俺は隠れる様にして公園へ少し近ずいた。
そして苗字先輩の視線を辿る様にして公園を見る。


公園には雷門の制服を着生徒がいた。
見間違えるはずがない。
紫色の髪の毛、絶対に南沢さんだ。
もしかして、苗字先輩と待ち合わせ、とか??
へぇ、南沢さんもそう言う事するんだ。


でも、公園にもう少し近づこうとした時その考えは一気に崩された。


「なっ!!」


さっきは南沢さんで見えなかったけど、公園に近づいた事で今は、はっきり見える女子生徒...。


そして、その2人の唇は確実に重なっていた。
いつまで経っても離れる気配のない唇。
絶対に深いほうだ...。


ていうか、どういう事だよ。
南沢さんには苗字先輩がいるだろ?


その女子生徒には見覚えがあった。
俺と同じ2年生で、すっごく男たらしで有名だ。


南沢さん、年下まで手出してたのかよ。


この光景を見た苗字先輩はどう思う?
きっといくら苗字先輩みたいな大人しそうな人でも怒るよな...。


もう1度苗字先輩の方を見る。
少しだけだけど、ちらっと横顔が見えた。
悲しそうな、切ない、そんな表情をしている。


しばらく苗字先輩を見てると、苗字先輩は大きく肩で溜息をついた。


そして、


「えっ?」


公園にはもう用はない、と言う感じでその場を通りすぎて行った。
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