拝啓霧野蘭丸様

□第7章
1ページ/5ページ

【名前side】


私と南沢君は不釣り合い。
私がいくら頑張ったって南沢君は振り向いてくれない。
そんな事分かってるはずなのに...。
なのに、自分の身体を犠牲にしてまで南沢君に執着するなんて本当に馬鹿だと思う。


「はぁ、はぁ...。」


「もう終わりかよ。」


冷たい視線がとてつもなく痛くて寂しい。
折角、南沢君が私の身体を欲しがってくれたのに。
なのに、こういう行為が初めてな私にとってはどうすれば良いのかなんてこれっぽっちも分からなくて。
自分の知識の無さに愕然とした。


「早く服着ろよ。」


「はぁ、はぁ...。」


腰が痛いのを我慢しながらだらしなく脱ぎ捨てられた下着や制服を頭の思考が回らないまま身につけて行く。


終わった...。

確実にそう思った。
そうなるとどんどん目頭が熱くなり初め、気がつけば頬には暖かい水滴が落ちて行った。


「分かってると思うけど、これでもう終わりな?」


「っ...。」


「もう“恋人ごっこ”はおしまいなんだよ。」


覚悟は出来てた筈なのに。
なのにどうして涙が止まらない?
どうしてこんなにも南沢君が好き?
自分でも好きになった理由が分からない。


「今まで、ありがと。」


「は?」


「本当にありがとう、」


「あのさ、そう言う真面目な所とか直したら?だから俺に捨てられんだよ。」


「っ、」


南沢君の言葉で制服のボタンをを止めていた手がピタッと止まった。


真面目だから捨てられる...。


そうだよ、私は真面目なんだ。
髪の毛を染める勇気さえ出ない臆病な真面目人間なんだ。








空はもう暗くなり始めていて、すごく重く感じた。
南沢君の家を背にし、1人でとぼとぼと歩くたびに、腰に痛みが走った。
そして、それ以上に心にも痛みが走る。


自分は取り返しのつかない事をしてしまったんだ。
自分の弱さ、遭われさ、情けなさに肩を落とす。


今日、苗字名前は失恋しました...。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ