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□赤点は厳禁です
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「ねえ。」


「ん、どうした?」


放課後の教室で2人っきりなんてちょっと雰囲気あるよね。
なんか恋人っぽくてさ。
日直の仕事を押し付けた先生にちょっと感謝しなきゃな。


「中間テスト出来た?」


「まだ返却されてないから何とも言えねぇけど、まぁまぁじゃね?」


「凄いよね、佐久間。」


プリント整理をしながら佐久間にテストの話を持ちかける。


「名前だって頭いいだろ?」


「私、今回本気でやばかったから。」


勉強が出来る佐久間を最初はライバル意識していた。
でもそれが何時の間にか好きになってて。
人の気持ちの変わりように少し驚く。


「もう今までの最低点決定だよ。」


「そんなに?」


「うん、理科とか赤点取ってもおかしくないかも。」


「えっ!?それヤバくね??」


マズイ!と言う表情で私を見てくる佐久間。
ていうか、本当に綺麗な顔立ちしてるなぁ。
ワインレッド色の切れ長の目とか特に綺麗でしょ...。


「知ってた?赤点とると夏休み毎日補習あって遊べないんだって。」


「えっ?」


「先生と毎日マンツーマンで勉強。私の場合は理科になるかもね。」


「理科の先生ってあの川口?」


「そうそう、若くてイケメンで女子生徒に人気の...。」


その後、「まっ、私はタイプじゃないけど。」と付け足しといた。


「まじでマンツーマンなの?しかも毎日...。」


「らしいね、『夏休み明けたら川口先生が彼氏になってましたー!!』とかになりそうな位一緒だてさ。」


「...。」


「佐久間?」


佐久間の表情がなんか暗い。
綺麗な目もなんだか輝きがなくなってる。


「教えてやるよ。」


「何を?」


「だから理科、ていうか全部。」


全部ですかい!!
とちょっと心の中で突っ込んでみた。


「あっありがと...。」


「夏休みまであと1回テストがある。まじで教えてやるから、絶対に赤点取んなよ!?」


「あっうん。」


なんかとてもやる気満々の佐久間。
でも佐久間に教えてもらえるのは正直嬉しい...。
そりゃ誰だって好きな人と勉強するっていったらテンション上がるよね??


「絶対だからな?赤点とったらマジ許さねえから!!」


「はっはい...。」


何時の間にか佐久間の目は輝きを取り戻していた。


赤点は厳禁です


(佐久間、もしかして私が川口と一緒になるのが嫌だった、とか?)

(はっ!?ちっちげーし!!)
 

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