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□嫉妬からのすき
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「この俳優さん超絶かっこいい!!やばいよー」


「へぇ、」


「見てよこの笑顔!キュンキュンしちゃうっ」


「だから?」


「だからって、ていうかなんでそんな怖い顔してるの?」


「いや、別にしてねーし。」


最近はサッカーが忙しくてなかなか彼女の名前に構ってあげられない日々が続いてた。


でも今日やっと時間が作れて折角俺の家に来て2人きりになれたっていうのに。
なんだよ名前のやつ。
なにが超絶かっこいいだ。


「次郎?もしかして機嫌悪い??」


「しらねぇー」


「ならいいや。」


はっ?
そこはもっと心配してもよくね?
名前は俺の彼女だよな!?
なのにキュンキュンすんのは俳優かよ。
ったく、なんなんだよ。


俺は一冊の雑誌を取りページをめくった。
俺だって言う時は言うんだからな。


「このアイドルの子!ちょー可愛いじゃん、」


「えっ、」


わざとらしくないように少し大きめの声でそう言えばピクっと反応する名前。
俺の目に写っているのはそこそこ可愛い感じの新人アイドル。
それを見て俺は言葉を続けた。


「俺この子すっげータイプ!同じ学校だったら付き合いたいレベルいくな、」


「......。」


少し言いすぎたか?
そう思いチラッと名前の方を向く...が、


えっ?


「ちょっ、名前!?」


「うっ...ぅ」


そこには目に沢山の涙を溜めた名前の姿。
身体が小刻みに震えていた。


「じろ、グス、う...」


「えっと、悪かったって、」


「結局は可愛い子が好きなんじゃんかぁー、うぅ。」


「違うって、」


「次郎のバカ!どっか行け!!」


やばい、完全に怒らせた。
今思えば確かに少しどころかかなり言いすぎたかもしれない。
嫉妬、させたかっただけなのにな。


「名前っ!」


名前を呼び自分の方へぐっと引っ張り腕の中に収めるとさらに泣きじゃくる名前。
彼女泣かせるなんて、俺バカだ。


「さっきのは嘘だって、」


「ばか!」


「俺は名前が1番だからっ、」


「ばかばか!!」


なにを言っても『ばか』の一点張り。
ダンダンと俺は肩を叩かれる。(痛くないから別にいいけど。)


「ばか!」


「本当に悪るかった、嫉妬させたかったんだよ...。」


うわ、なんか今の言葉言うのすっごい恥ずかしい。


「嫉妬?」


「そっそうだ!嫉妬だよ、」


俺がそう言うと、肩を叩くのをやめ俺の腕の中でおとなしくなった名前。


「俺は名前が1番好きだから、な?」


「...うん。」


安心たようにギュッと俺に抱きついて来た。
女の子らしいその小さな身体を俺もギュッと抱きしめ返すと『次郎すき。』と耳元で聞こえた。


もう嫉妬させるのはよそう...。


嫉妬からのすき


(次郎も嫉妬したの?)

(まっまぁ...)

(ってことは私の『次郎に嫉妬させよう作戦』は成功ってことねっ)

(はっ?どう言う意味だよっ)
 

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