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□ふとした優しさ
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「あぁ、これこの公式な。」
「知ってるよ!!」
日曜日。
クラスで仲がいい佐久間の休日を奪って勉強を教えてもらっているもののなかなか進まないのは気のせいだろうか?
「お前なぁ、教えてやってんだからもう少し感謝しろよ。」
「そんなの知るか!っていうか佐久間の教え方わかりにくいし。」
好きな人には素直になれない。
その言い伝えはどうやら正しかったらしい。
「はぁ!?なんだよそれ!!」
「あーぁ、こんな事なら源田にしとけば良かった。」
「な、なんで源田なんだよ。」
こんなはずじゃなかったのにな。
教えてもらえるって決まった時は飛び跳ねそうな位嬉しかったし。
少しは気合を入れてこうやってスカートをはいてきたのに...。
「だって源田って教え方上手そうだし優しいじゃん。」
「俺だってこうやって一生懸命教えてんだろ?」
「でも優しくない!!」
そう強く言えば眉間にシワを寄せる佐久間。
少し言い過ぎたかな?と思ったけど後悔しても遅いなと思うだけだった。
「そんなに源田がいいんだったら源田の所行けば?」
「っ!いっ言われなくても行k...いたっ、」
カっと来ながら教科書を閉じたのが悪かったのだろうか?
指にヒリヒリと痛みを感じたと思えば、血で少し染まる教科書が目に入った。
「ど、どうした!?」
「大丈夫だからっ!」
「なに強がってんだよ、ほら。」
何時の間にやら佐久間の手には絆創膏が存在していて、今まさにその絆創膏が私の指に巻かれる所だった。
「さ、佐久間...、」
「ん?」
「ごめん。」
「あぁ、いいって、俺も悪かったし。」
まさかあんな酷い事を言ったあとに佐久間が絆創膏をくれるとは思わなかった。
ふとした優しさ
(女子ってこういうシチュエーション弱いんだよね。)
(何か言ったか?)
(な、なにも言ってないから!)