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□SpecialHalloween
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「鬼道、トリックオワトリート」


「お前がそんな事を言うなんて珍しいな。」


「そう?」


俺がそう言うと、少し首をかしげる俺の彼女。


朝っぱらから『トリックオワトリート』なんて...。
いつもは冷静でクールな彼女だったら考えにくい事だ。


まぁ、たまにはいいかもしれんがな。


「でも甘い物食べたいんだよね。」


「昨日、甘いキスをしてやったろ?まだ足りないと?」


「ちっ違くて...。」


頬を真っ赤に染める名前。
素直に可愛いと思えるその姿。


「ふっ、まぁいい。」


「鬼道、じゃあさ一緒に食べようよ。」


そう言った名前の手には黄色いバウンドケーキが綺麗にラッピングされてある。


なんだ、俺にお菓子ねだっておいたくせに、自分で持ってるのか。


「パンプキンケーキだよ。鬼道、甘いの大丈夫だよね?」


「あぁ、糖分は疲れをとってくれるからな。」


はい、と既に切り分けられたケーキを渡され口に運ぶ。


「ほお、上手いな。」


「本当?」


「あぁ、丁度いい甘さで、カボチャの味が引き立っている。」


「なんか、鬼道が言うと評論家の人みたい。」


そういいクスクスっと小さく笑う。


「お前は食べないのか?」


「どうしよっかな、」


しばらく考えた様子を見せた名前だか急に何かを思いついた様に表情が明るくなった。


「鬼道、」


「ん?」


「あーん。」


「なっ!」


小さい口を開けてケーキをねだるその仕草がなんとも可愛らしい。
が、普段の彼女からは想像も出来ない事なので少し戸惑ってしまう。


「だめ?」


「ふぅ、しょうがないな。」


今日だけは特別と言う所だな。
だがせっかくの特別なんだ。
ただのあーん、じゃつまらない。


「名前、」


「うん、」


「ハッピーハロウィン。」


そう言い持っていたケーキを自分の口に含む、


そして、


「んん!?!?」


「どうだ?ケーキ美味いだろう。」


俺の口から彼女の口にケーキを移せば、またもや真っ赤になる名前。


「ばっばか、」


「たまにはそう言うお前も悪くないな。」


SpecialHalloween


(名前、今日だけだからな特別は)

(しっ知ってるわよ)
 

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