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□1年越しのハロウィン
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「もう少し甘くてもいいんじゃないか?」


「そう?男子って甘いの苦手そうじゃん。」


「そうか?佐久間とか、辺見とか...そこら辺は割と甘党だしな。」


「そうなんだ、なんか意外。」


今日は10月30日。
イコール、明日はハロウィン。
帝国学園サッカー部マネージャーの私はただいまもくもくと明日、部員に配る為のお菓子を作っている。


「本当に自分1人で出来ないとはな、」


「だって料理苦手なんだもん。」


そう、決して得意とは言えない料理。
だから帝国のお母さん的存在の源田君を私の家に、半強制的に呼び手伝ってもらう事にした、と言う訳だ。


「ねぇ、」


「どうした?」


「オーブンの設定これでいいの?」


「ん?あぁ、大丈夫だ。スタートボタンをおして30分待てば出来上がりだ。」


「さっすが源田君、ありがとう。」


女の私なんかより絶対にいい主婦ならぬ主夫になれると本気で思う。


「なぁ、名前。」


「ん、なに?」


2人掛けソファに並んで座るっていると急に名前を呼ばれた。


「噂で聞いたんだが、その...、」


「えっ、なになに?」


言葉に詰まっている源田君。


「だから、付き合ってるのか?さっ咲山と...。」


「えぇ!?なんで咲山君!?」


「いや、なんか少し小耳にはさんでな。」


「まさか、付き合ってないよ。咲山君、怖いし。」


今にも金属バッドを持って来て「喧嘩上等だコノヤロー」とか言って来そうだし。
そう思い少し苦笑い。


「そうか、ならいいんだが。」


「えっ?」


「いや、なっ何でもない。」


「うっうん。」


気まずい空気が流れた。


「そっそういえばさ、去年のハロウィンの時源田君私に何か言いかけなかった?」


確かに覚えている。
私達が1年生の時のハロウィンの日に源田君は何かを言いかけた。


「えっと、」


「なにか重要な事?」


「まっまぁ、」


「えっ、なに?気になるじゃん。」


源田君の頬がほんのりだけどピンク色に染まったきがしたけど、気のせいかな?


「名前、」


「ん?」


「明日期待してろよ。」


「えっ?どう言う事??」


少し戸惑っていると『チーン』とケーキが焼きあがった音がした。


1年越しのハロウィン


(ずっと好きだった。)

(うそ...!)

(本当だ、もし良かったら付き合ってくれないか?)

(うっ、うん。)


次の日、源田が名前に告白したのは言うまでもない。
 

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