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□来年にかけて
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2月14日、放課後の下駄箱。マフラーを口元まで上げ、指定のセーターの下に更にベージュ色のセーターを着て、ブレザーのポケットにはカイロ、そして手には、手袋…と行きたい所だったが何故かクーラーボックス。
下校していく生徒の視線が痛い。そりゃそうだ。こんな真冬にクーラーボクスを持った女が下駄箱で寒そうにしながらまだかまだかとクーラーボックスをもって30分も立っているのだから。
「遅い...」
壁にかけてある時計を見れば既に4時。もしかしたらもう帰ってしまったんじゃないかと思いお目当ての人、凉野風介という名前シールのはった下駄箱を見るがそこにはちゃんとまだ靴がきちんとかかとを揃えて置いてあった。
「あれ?苗字?」
突然自分より数センチ上から声がしたと思えば赤髪の上に可愛らしいチューリップが咲いたような髪型の同じクラスの南雲が立っていた。
彼もまた寒いのかマフラーではないけれどネックウォーマーをしている。
「ねえ、凉野君見なかった?」
「風介?ああ、あいつならもうそろそろ来るぜ?あ、もしかしてあれか!?」
「そう、あれ!とうとう今日渡すんだよ!」
「そっか、頑張れよ!じゃあな、俺帰るわ。」
手をひらひらと2回振って上履きから靴に履き替え、制服のズボンに手を突っ込み、さみー、と言いながら背を向けてあるきだした南雲。
その南雲と入れ違いに下駄箱の角から現れたお目当ての人...凉野君。
「す、凉野君!」
さあ、頑張れ私。