拝啓霧野蘭丸様

□第8章
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「あ、あのね?」


少し俯き加減だった苗字先輩が口を開いたのは10秒ほど経った時だった。


「相応しい人だなんて、霧野君言ったけど、私にはそんな贅沢言う権利なんてないよ...。」


「あ、ありますって。」


念を押すようにそう言えば、苗字先輩は、ううん。とでも言う様に首を横に振った。


「私は消極的だし特に魅力もない。可愛くだってないし凄い頭も言い訳じゃない、私に南沢君はもったいなかったの。」


「そんな事ないです!」


「あるんだって...。」


さらに縮こまってしまった苗字先輩。
この時はただただ苗字先輩の言葉を否定するのに必死な自分がいたんだ。


「俺から見たら苗字先輩はみっ、魅力的です!」


「え、あ、きっ霧野く...ん?」


「南沢さんには勿体無いです。何でいつも苗字先輩は自分の事を悪く言うんですか!?」


「あ、えっと、」


今思えばとんでもない事を言ったなと深く後悔してる。
でもこれはこれで良かったんじゃないかと思う時もそう少なくはないなって思う時もあるんだ。


*。+*。+*。+


馬鹿だ...。
本当に馬鹿だと思う。
何であんな事を言ってしまったんだ。
苗字先輩を困らせただけじゃないか。


ったく、俺好きな人の前だとコントロール効かなくなるんだよな...。


「??」


好きな人の前だとコントロールが効かなくなる?


好きな人の前だと??


「あ、え?」


好きな、人...??
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