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『こんばんは、塾おつかれさまです。
さっきはありがとうございました。
俺のも良かったら登録お願いします。
源田幸次郎。』
『おつかれさまです。
分かりました。登録しときますね。』
『ありがとうございます。
苗字さんが嫌じゃなかったら敬語使わなくていいですか?』
『嫌じゃないですよ。同じ学年ですしね。』
『ありがとう。
今日はもう遅いからまたメールしていいか?』
「うん。大丈夫だよ。」
『よかった^^それじゃあまた。
塾がんばろうな、おやすみ。』
『がんばろうんね^^おやすみ。』
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「これ絶対あんたに気があるってば。」
次の日の太陽が真上に上がった頃、お弁当箱の中の唐揚げを口に運びながら首を傾げる。
「ていうかメアド聞いてくる時点でそうだってば。」
「あぁ、まぁ...確かに。」
目の前で私の携帯のメールボックスを見ながらそう言う友達の言葉に納得する。
確かに、確かにそうなのだ。
あの時はかるくパニック状態に頭がなっていたからかどうかは分からないけど。
でも今思ってみれば話した事もない、ただ塾のクラスが同じだけの相手にメアドを聞かれる。
冷静に考えてみればもしかしたら私の事が...。
そう思ってしまっても多分おかしくない、きっと日本中の半分以上の女子は少しでもそう思うはずだ。
「でも相手はあの帝国学園だよ?」
「帝国でもなんでも男は男。変わりないってば。」
「そう?」
「そうそう。」
少し強引な気もするが私より恋愛経験がある友達の言う事だ。
きっと半分以上はあっているだろうと思い最後の唐揚げを口に放り込んだ。
「もし告白されたらどうしよう。」
「どうしようって...付き合わないの?」
「うん、だって私の好きな人、佐久間君だし。」
「あー、あの眼帯つけてる人?」
「うん、その人。」
勝手に告白されると思うなんてなんだか自意識過剰かもしれない。
けど源田君と視線がぶつかる事は多いと言えば多かったし、なにしろメアドを聞かれたって事が大きいと思う。
メアド聞かれるのが源田君じゃなくて佐久間君がならどんなに幸せなんだろう。
そう考えながらも食べ終わったお弁当を片付ける。
そうも気分がすっきりしない。なんだかもやもやする。
「まぁ、名前がもし源田君って言う人と付き合ったら佐久間君と付き合える可能性は0に近くなるってだけだけどね。」
「そりゃ、自分の友達の彼女だもんんね。例え付き合って別れたとしても低いよね、可能性。」
「佐久間君と付き合いたいなら告白は断るべきだと思うなあ。」
「それは絶対に断る。でもさ、仮にその後私が佐久間君に告白したらなんだか気まずくない?」
もしかしたら佐久間君と源田君の友情になんらかの支障が出てしまうかもしれない。
そうなったら余計に気まずいし私が悪いような気もしてしまう。
そんな先の事まで考えてしまうなんてやっぱり自意識過剰なのか?
メールボックスをもう1度開く。
そこには「源田幸次郎」という名前が4つ。
その日の午後の授業の内容は殆ど頭に入ってこなかったのは言うまでもなかった。