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「さあ、話して。」
「えっと、」
なんなんだこの状況は。テーブルを挟んだ目の前にはニコニコしているヒロト君。
その横にはめんどくさいのか、それとも怒っているのかいまいち分からない表情の晴矢君。
そして私の横には最もまともな無表情の風介君。
なんだか、彼氏を連れてきて親に紹介している設定みたいではないか。
「名前、早く話せ。俺は見たいテレビがあるんだ。」
空気を読まない人だなあ...よくこの状況でそんな事を言えると思う。まあ、そこが晴矢君らしいと言えばらしい。
「名前ちゃん、言うの嫌?」
「い、嫌っていうか、その、」
嫌じゃないかと言えば嘘になる。
昨日は相川先輩とプレゼントが被って、ショックで泣きました。私はヒロト君が好きなんです。
と、言えば良いのだろうか?いや、待て私。あまりにもストレートすぎる。
「ふーん、風介には言えて俺には言えないんだ。」
「ち、違う。」
「じゃあ言ってごらん?」
「え、」
なんかこれではまるで私がいじめられている見たいだ。それだけなら良いのだが、さっきから晴矢君がぶつぶつ言っている。
なにかと思い耳を傾ければ、テレビ、テレビ、と機嫌が悪そうに呟いていた。
やばい、このままじゃ私、晴矢君に殺される。
「あ、あの...ヒロト君?」
「ん?」
「2人で話がしたいの。」
「え?俺と?」
こくんと頷けば少し考えるような素振りのヒロト君。でも直ぐに、分かった、と言いその場で立ち上がった。
「じゃあ、俺の部屋でいいよね?」
「あ、うん。」
「ん、おいで。」
ヒロト君を追いかけるように私もその場から立ち上がれば不意に肩に手を当てられた。
なんだろうか?と思えばにこりと微笑んだ風介君。
「頑張れ、名前。」
「うん。」
リビングから出るときには晴矢君が付けたであろうテレビの音が遠くに聞こえた。