□勝手に盗まれた
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毎朝あなたが当然の様に走るその道程にわたしが生命をすり減らしてまで走り込む理由なんてとっくに知って居る癖にいまだにそんなきれいな知らない顔を通すだなんてどういうつもりですか







「河井くん、」

「何ですか」



「河井君はすごいんだよ」


「突然どうしました」




菊ちゃんお手製のスポーツドリンクを手渡しながら練習終りの彼に直る。




「だってさ、本当にすごいんだからね。気付いてないかもしれないけど」

「ぼく、何かしましたか?」


「した、凄く凄いこと。」

「もう、何をしたっていうんですか、怖いなあ」




「おかげで無くなっちゃったんだよ」

「え、ぼく何か借りましたっけ?」




「借りたどころの騒ぎじゃないのよ、もう使い果たしちゃったの」


(わたしのハートを!)
(なんちゃって!)
(いいからそのまま延滞してて)
(無自覚なのか何なのか判らないけど)


勝手に盗まれた


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