夢
□マイナスドライバーの接触事故
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やわらかいシーツと、あたたかいお布団のサンドイッチになって、わたしたちは今夜も恋をする。
「林檎、」
「貴子さん、」
貴子さんの長くてやわらかい腕がわたしをつかまえる。
わたしは応えようとしてすこし身を寄せる。
「ふ、」
貴子さんが、ずいずいと密着する。
首を埋めようと、ぎゅうっと引き寄せてくる。
こんな狭いベッドの上で、距離もなにも今更あったものじゃないのだけれど。
「すきよ」
「わたしも、」
貴子さんがしろい頬をわたしの首に擦り寄せる。
あつくてやわらかい、それでもってとてもとても甘美なる心地よさ。
「ねえ、貴子さん、もしも」
(わたしが男の子だったらなんて、)
(云わない約束)
(Yを持たず生まれたわたしたちはどうあがいても、)
(これ以上ひとつにはなれない)
マイナスドライバーの接触事故