□夜を火の中へ投函
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いま現在の時計の針は左方向に60°を指していて間違いなくわたしは疲れている。彼を日がな一日だいすきだと云って追いかけて焦がれてはしりまわってころんで転がって燃えたぎって過ぎるこんな短くて足りない一日はもう何十日と続いている。こんな柔らかい布団でも彼ひとりのあたたかさには敵わないのだ。(あああもう、すきすきすき!)
朝一番にドアをはたいて視に行く河井くんのあのとんでもない美しさとかっこよさとやさしさと少年らしさと肌の白さと長くて黒い髪のきれいさとにのうでのたくましさと背の高さと胸のあつさとあまいあまいあの声の低さとことばの柔らかさと礼儀正しさとまっすぐさとそっけなさときれいに強いしなやかなながい指とたまにかがやくおさない笑顔とふっとみえる大人っぽさと力持ちなところともうなんだかとにかくすばらしい彼のためにわたしは、



(こころがあつくて仕方がない!)
(眠らなくちゃ夜はながい、)
(でも眠るのがもったいない!)

         夜を火の中へ投函


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