昨日
□人生の目的意義が果たされるまでコンマ3秒
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「鬼道くんかっこいい!わたしはもう、来世で鬼道くんのゴーグルになる!」
毎日のように高らかにそう宣言すると、隣の緑川くんがちょっと気持ち悪いよそれ、と苦笑いした。
「どうして、あんなにかっこいいんだよ?」
「だったら普通恋人とか、…あってもお嫁さんとかでしょ」
「鬼道くんがわたしなんかと結婚する訳ないでしょ、財閥の息子さんだよ、」
「そう云うことじゃなくってさー」
馬鹿な会話に根気よく反応してくれる緑川くんはとっても善い子だと思う。
昔のことは忘れないけど、思い出さないで上げたいな、とも思う。
「マントでもいいんだけど、一緒に学校に行けないし」
「ほんと気持ち悪い、ストーカーみたい」
「靴だと、二役しなきゃいけないし、下着は…ああなんてこと考えてるのわたしったらはれんち!!」
「めんどくさい…」
隣で心底うざそうな溜め息を吐かれた。
「サッカーボールでもいいかな…でもいつか使えなくなったら困るか…でもだめ、鬼道くんに蹴られたい…!」
「もう黙ってよこのどえむ!!」
肩をどん、と押されてわたしはようやく話すのを辞める。
「だって、鬼道くんが素敵なのがいけないのよ!」
緑川くんがふっと一瞬眼を大きく開いて、囁いた。
「本人に丸聞こえだよ」
(恥ずかしいとか、好きだとか以前の問題)
(こんな風にわたしがあなたを叫ぶのは)
人生の目的意義が果たされるまでコンマ3秒
(あなたがわたしにばかみたいだってわらうため)