昨日

□当たり前に仲間外れ
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鬼道くんのようなゴーグルが、わたしにもほしいと総帥にせがんだことがある。








「わたしも、鬼道君とおんなじ世界が見たいです」





わざわざだれもいない所に追いかけてねだったけれど、答えは予想を裏切りもしなかった。










「お前の器ではない」






総帥は、わたしを高いところからレンズ越しに見下ろしながら何の感慨もなく云った。



「でも、総帥、」






だからこそわたしは同じように世界を視たいのだと言い返せなかった。






「お前はお前の分相応を遂行すればいい」









細長くてつめたい影をひらめかせて、ためらいなんてなく扉を越えてしまった。




だれも居ない、広くて高価なグラウンドに、取り残された午後8時は、ひどく寄る辺なかった。








鬼道くんは、きっと初めて会った瞬間に認めてもらえて、認めた分の重たいを背負って、辛いを抱えて戦わせてもらえたのだ。





(ああ、やっぱり所詮はわたしなのか、)






鬼道くんのようにわたしも見初められていたなら、あなたに追い掛けてもらえるなんてことが、




ちっとも揺れない鬼道くんの苦しいをすこしでも手のひらに掬うことが、






あなたにあいされるなんてことが、






ほんのすこしでも意味のある人間になれたのに、




(結局、どちらも手に入らずに)


(わたしは一生無意味なドット絵のモブ)



当たり前に仲間

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