小説

□CALL ME
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世に平和が戻り、一行の旅路は終焉を迎えていた。
新たなスタートラインに立ち、それぞれがこれから向かうべき場所をぼんやりと思い描いていた。
彼女もまた、あの男たちと共に旅立つことを夢見ていたが、その男自身によって打ち砕かれるのであった。


「ビュティ、お前はヘッポコ丸に付いて行ってやれ」


数日前、ヘッポコ丸は故郷へ戻るために一行と別れることを告げていた。


「え、でも…私…」


戸惑いがちにヘッポコ丸と男、ボーボボを見比べるビュティ。
ヘッポコ丸も急なボーボボの提案に心を乱した。


「ボーボボさん…俺に、任せてくれるんですか?いいんですか、俺なんかで…?」


強くなる旅に出た妹とも別れ、一人故郷の復興に夢を馳せるヘッポコ丸は
ビュティをその旅に巻き込むことを良しとは思っていなかった。
あまりに個人的なことであり、彼女には全くもって関係のないことであるからだ。


「違ぇよ。ビュティにお前を任せるんだ。お前だけじゃ心許ないからな」


他の仲間たちは、何も知らない少年と少女を静かに見守っている。
込み上げてくる感情を押し殺し、「これでいいのだ」と幾度も自らに言い聞かせる。


「お、俺はいいです、けど…ビュティは…?」

「私もいいけど…だけど、私…まだ…」


苦しそうに胸に手を当てるビュティは、ボーボボの顔を見つめる。
サングラス越しでは、彼の表情を読むことが叶わない。
笑っているような、泣いているような。
ずっと一緒に旅をしてきたのに、それすらも分からない自分が、酷く恨めしくなった。


「ビュティ、ヘッポコ丸を頼んだぜ。こいつはまだまだ弱い。
 こいつがちゃんとプップーシティに辿り付けるように、お前が面倒をみてやってくれ」


そっと背中を押すように。
彼女が押されていることも気付かぬように、ボーボボは言い聞かせる。
自分への言い訳を重ねながら、彼女が笑顔で居られる未来を夢見ながら。



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