小説

□CALL ME
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ビュティは瞳を伏せたまま、暫く考え込んでいたが、ふと顔を上げて笑顔を浮かべて頷いた。


「分かったよ、ボーボボ。私、へっくんに付いて行く」

「ほ、本当か、ビュティ…!」

「うん。よろしくね、へっくん!」


ボーボボも含め、仲間たちは安堵した。
みんなで思い描いた彼女の幸せは、第一歩を踏み出した。
知るよしもないビュティはヘッポコ丸に無邪気な笑みを贈り、ヘッポコ丸は耳まで朱色に染めている。


「耳まで真っ赤じゃねぇか、ヘッポコ丸!」

「初々しいですなあ」

「なっ、馬鹿っ、違っ!これはそういうんじゃなくてッ…!」


せめてもの抵抗に、と、首領パッチと天の助がヘッポコ丸をからかう。
背後から彼に抱きつくナマモノ二匹は、寄るな、と彼に抵抗されても攻撃の手を止めようとはしなかった。


「オラァ!もっと喜べやクソガキがぁっ!」

「ぐはぁぁッ!!」

「心太を旅の主食にしやがれ!!」

「だばあっ!!」


口に心太を詰められ、首領パッチソードで腹部を執拗に打ち付けられる。
そんな愉快な仲間を見て笑みを零すビュティに、ボーボボは続けた。


「ビュティ」

「なに、ボーボボ?」

「お前にイヤな役割を押し付けたかもしれない。許してくれ」

「ううん、全然イヤじゃないよ。だからそんなに怖い顔しないで。ね?」


いつの間にか眉間に皺が寄ってしまっていた。
押し込めた感情が、我侭にもその正体を現そうとしている。
ボーボボは再び強く、自らの感情を胸の奥へと押し込むと、不器用に笑ってみせた。


「なあ、ビュティ」

「…なぁに、ボーボボ?」

「もしお前に何かが起こって、ヘッポコ丸でも太刀打ちできなくなって困った時。俺を呼んでくれ。
 そうしたら、世界のどこにいたって駆けつけるから」

「でも離ればなれじゃ、私の声なんて届かないよ?」

「大丈夫。お前の声なら世界の反対に居たって届くよ」

「でも世界の反対側に居たら、すぐ私のところに来れないでしょ?」

「いいや。世界の反対に居たって、一秒で駆けつけてやるさ!」

「…本当に?」

「……五秒にまけてくれるか?」

「十秒くらいまでなら。絶対だよ?約束だよ?」

「…ああ、約束だ」

「よかった!」


少女の微笑みに、ボーボボもつられて表情を緩める。



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