短編

□永遠
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 今日は曇り。いつもは見える星も今日は見えない。そのかわり見えるのは輝くネオンの光。街頭やビルの中でついている照明もあり、夜なのに馬鹿みたいに明るい。
 環境破壊の原因はこういうところにあるんじゃないかな?なんて考えてしまう。そうしたら後ろから名前を呼ばれた。振り返るとそこにいたのは景吾。どうやら隣にいなかった私を探しにきたらしい。

 「ったく、心配させやがって」

 そう悪態をつきながらも私にタオルケットをかけてくれる景吾は母親みたい。  
 調子に乗っちゃうから言わないけど、私は景吾がいなくては多分生きていけない。そんな気がする。
 
 となると私は母親っ子か。しかも、親不孝な。

 そう考えたら少し笑えた。

 「あーん?どうかしたのか?」
 「何でもないよ。入ろう」

 寒くて死んじゃう
 そう言ったら、自業自得だ馬鹿、と言われた。
 相変わらず意地悪だけど、繋がれた手は温かい。
 
 「温かいね」
 「何がだ?」
 「ん?景吾の手」
 「普通だろ」

 普通―。
 確かにそうかもしれない。景吾の体温は普通だし。でもそう言うことじゃないんだ。
 そう感じるのは心理的なものだから、私を温めてはくれない。けれど、心はすごく温かくなる。

 貴方がそばにいてくれる―
 貴方の温もりを感じていられる―

 それだけで幸せになれる私はもう末期だ。“景吾だけがいれば良い―”なんて言わないけれど、ずっと一緒にいたい。

 「景吾、ありがとね」

 そんなことを言ったら“気にすんじゃねぇよバカ”と笑われる。いつもは言い返すけれど、今日はそんな気分じゃない。景吾が心配してくれたから、もう幸せ。

 「私は、ずっと、景吾の隣にいたい」

 ぽろりとこぼれた私の願い。少し恥ずかしくなったけれど、景吾はちゃんと、

 「当たり前だろ。死んでも離さねぇから心配すんな」

 と言って、頭を撫でてくれた。
 世界で一番愛しい人からの愛の言葉――
 私は世界で一番幸せ者だ

 永遠
 
          
 貴方のその身が朽ちたとしても
        
 私は貴方のそばにいる

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