短編
□桜舞う季節に出会った
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桜が咲いた。
俺はその桜を一目だけ見て歩き出す。
町の人たちは皆忙しそうで誰も桜に目を向けない。休日だったらちゃんと見るんやろなぁなんてどうでもいいことを考えた。
(お?)
そんななか、1人だけ桜をぼぅっと見上げている女の子がいた。皆颯爽と歩いていくから彼女はすごく目立つ。
よく見ると彼女は同じ中学の生徒だと分かった。
黒い髪が肩くらいで風に吹かれて揺れる。四天宝寺の制服に身を包んで静かに佇んでる。
普通だったら目にもとめないだろう。
校内ですれ違ったとしてもただの同じ学校に通うただの一生徒扱いだ。向こうはどう感じるか知らないけど。
俺とすれ違えば、自慢じゃないが多くの女子生徒が喜ぶ。
でも彼女は喜ぶこと無く、ただの一生徒とすれ違っただけ、と考えそうだ。
根拠なんてない。
ただの願望だけど。
もう一度少女に目を向けると、少女は桜を見るのをやめ歩き出していた。
自分もそれに習って歩き出す。
なんとなく気分が軽い。
彼女は何もボケをかまさずに校門を潜っていく。先生達も慣れているのか苦笑いで彼女を見送る。俺はちゃんとボケて校門を通った。
そのまま下駄箱で靴を履き替えて。
そして分かった。彼女は同じクラスだ。
また気分が上がる。
それから何だか申し訳なくなった。
いくら新年度が始まったばかりだと言え、クラスメートが分からないなんて。
これから知っていけばえぇんやなしなーーー
心の中でグッと拳を握る。
これから、頑張れ俺!!!
桜舞う季節に出会った
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SweetLove様の企画で提出させて頂きました
素敵なお題、ありがとうございました