淡い桜の夢は
□第3話
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部屋に戻り、私は深い溜息をつく。
そして髪の結いを解き、髪を縛っていた紐を握り締める。
「・・・・・としぞ・・・・・うさ・・・ん・・・・・。」
本当は土方を殺すのは怖い。
昔、想いを寄せていた人だから。
今でも少し、土方が父様を殺したことが信じられなくなる。
・・・・・でも土方は父様を殺した。
それが現実だ。
あんなことさえ起こらなければ、私は土方に刀を振るうことはなかっただろう。
「・・・・・レイちゃんって土方さんの知り合いだったんだ?」
後ろを振り向くと、そこには沖田さんがいる。
しまった・・・・・!!!
「・・・・・変なことを言わないでください。なんであんな人と知り合いなんですか。」
「だって歳三さんって呼んでいたから。」
聞かれていたか・・・・・。
「何?昔の恋人とか?」
「そんなわけないでしょう・・・・・・。」
私と土方が恋仲なんて。
「じゃあ何?」
「昔色々あっただけです。」
私は立ち上がり、沖田さんの前に立つ。
「お先に休ませてもらいます。」
そう言い襖を閉める。
そして、部屋の明かりを消した。
暗闇に包まれる。
私は刀に手をかける。
怖くなんかない・・・・・。
土方を・・・・・・
「・・・・・殺すんだ。」