ローズ×ソード†
□4.薔薇と雨
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「気持ち悪いんだけど…」
とりあえず抵抗すべく、ロゼルは言った。
「あァ!?ちょーしのってんじゃネェよ!!女は大人しく男に従えってんだァよ!!」
そいつは声を荒げてロゼルの髪を乱暴に掴みあげた。
「…じゃ、僕が女じゃない、って言ったらどうする?」
しかし、ロゼルは落ち着いた口調でなおも言った。
そいつはしばらく考え、ニヤリと気味の悪い笑みを浮かべた。
「そんなら確かめるまでだなァ!?」
―マジですか。
正気を失わせる為の挑発が、裏目に出た。
「――――っ!」
そのまま、そいつの手がロゼルの服に伸び――
伸びはしなかった。
よく見ると、そいつの腕を誰かが掴んでいる。
よほど握力が強いのか、骨のギシギシ言う音が聞こえてくる。
その誰かと言うのは…
レインだった。
薄青の瞳が、恐ろしい程据わっている。
「なぁ、お前何しでかしたか、分かってんのか?」
そのまま、そいつの腕がボキボキと変な方向に曲がった。
「ヒッ…い゛あァ!?」
ブラリ、と力無く揺れる自分の腕を見て、そいつは悲鳴を上げた。
「さーて何か言うことは?」
そいつに向かって言うレインは、笑顔だった。
とびきりの…
黒い笑顔
「ひ…ヒイッ!?す…すすすみませんでしたぁぁぁぁ!!」
そう叫ぶと、そいつは一目散に逃げて行った。