ローズ×ソード†

□3.向日葵
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父を探しに、旅に出たのはいいが、街の外には魔物がいる。

魔物なら、日向と私でなんとかできる。

でも、これは流石に無理だ。

―悪魔。


今、日向と輝の前には1人?の悪魔が立ちはだかっている。

そいつは、日向と輝を交互に一瞥すると、器用な人語を話した。


「ほぅ。人の子が、2人…か。それに、その“面”やはり“アレ”が動き出したか…。」


アレ…?

悪魔はなにやら、輝達には分からない事を話している。


「日向…逃げよう!!」

輝は日向の手を掴み、駆け出した。

が…、すぐに悪魔が追いついてきた。


「逃げるな、“鍵”よ。この悪魔大公(グランヴェリオン)サャルハバナを―、楽しませておくれ?」


悪魔―サャルハバナは、ヒェッ、と気味悪く笑った。

「……っ!」

日向は魂棒を握り締めると、気を一点に集中させた。

武道の一つ“魂問気演舞”だ。


それに対して輝は、小瓶や薬草らしきものを取り出した。


それらを、サャルハバナは薄ら笑みをたたえて眺めるのだった。


「疾っ……!!」

日向が魂棒で突いた。突いた。突きまくった。


しかし、サャルハバナは微塵にも動かない。
ただ、日向の攻撃を、ニヤニヤしながら受け止めた。


どうしよう…。


とりあえず、なんとかしないと…!!


輝はあるモノを握り締めて、サャルハバナに向かって全力疾走した。


その手には、小ぶりな注射器が握られている。

中身は、アスピリンと言う薬品で、輝が自分で約200錠分を、液状に改良したものだ。


ただの解熱剤でも、多量に摂取すれば、命を落とす。


医術式を知っている輝だからこそだ。


しかし、命を落とすのは人間に服用した場合で、果たして悪魔に効くのかは不明だ。


「うぁぁぁぁ!!」

輝は無我夢中で、サャルハバナに注射器を刺した。
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