ローズ×ソード†
□6.蝶は何処へ羽ばたく
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船を出してから二時間弱。
異変は唐突に起こった。
海が細かい波紋を浮かべ、奇妙な程静かになったのだ。
「何事だよ…」
拓人はウンザリした口調で言った。
それを見た蒼空はクスリと笑った。
そして…事は唐突に起こった。
バシャンッ!!
大きな音を立てて、何かが海面から出てきた。
それは、触手のようにうねっていて、全部で8本あるようだった。
そして…海面から姿を表したものは、巨大ダコとでも言えばいいだろうか。
とにかくでかい。
3〜4mはあるだろう。
「…クソ!クラーケンじゃねぇかよ!」
「…クラーケン!?」
クラーケンと言えば、かなり凶暴な海の魔物だ。
驚く蒼空に、拓人は付け加える。
「あれはまだ子供だ」
「嘘……」
子供で、あのデカさ。
じゃあ大人は一体どのくらいあるんだ。
そうしている間にも、子クラーケンの足が、船に向かって来ている。
このままでは、船は簡単に潰されてしまうだろう。
危険を感じ、蒼空は咄嗟に動いた。
「―――ッ!!」