兄貴が死んだ

この6文字は張りつめた脳内をぐるぐると
粘り気の強い重みを残して巡っていた。


正確に言えば兄貴も死んだが正しいのか
あの似非ヒーローと、一緒に抱きあって
崖から墜落だ、そんな奇妙な『事故死』

似非でも飛べるヒーローが誤って兄貴と
転落なんて涙も出ない滑稽な物語りだな

最近あの二人を虜にしたその心中ゲーム
次の日には生き返れるからと狂った様に
車にぶち当たり水に潜り心臓を差し合う


あいつらが恋人じゃないのは知ってるが
兄貴が俺でもなく他の誰でもなく、あの
青い似非ヒーローとしか心中しないのは
確実性１２０％の曲がりもない真実だ。



次はどんな心中をするんだよ馬鹿どもが
でも気づいている。心中しなくなった時
、それはあいつらが恋人なんて甘ったる
いものになった時しかないのだろうなあ


だから心中してるうちは多めに見ようか
そのうち俺と心中させてやろうかそれか
心中なんてせずに甘いだけの恋愛を彼に
覚えさせるのも手なのかもしれないなあ


部屋のドアが開いて緑色の帽子が来た。


「俺と心中してみねーか」


言い様に振り返ったそこには緑色の隣に
よく知った青いジャージが居座っていた