Story
□嫉妬
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リク:嫉妬をしているトミー様
「スタージュン様聞いてくださいよーっ!!」
ああまただ。
「…今度は何だ」
「トミー様が、トミー様が怖いんですよおおおどうにかしてくださいあの人!!」
私の平穏を取り戻してください!と懇願する部下に、この場所に平穏なんてあるのかと聞きたくなった。いや、例え常識に反しているこの組織にも、それなりの平穏はあるのだろうが
「遂に支部長等が全滅したんです!」
「そうか」
ここでいう全滅というのは、「普通に接する者がいなくなった」という意味だ。以前話してきた時には、確かエルグとユー、ジェリー、バリーだったはずだが、遂にセドルとボギーが挫折したようだ。…挫折というよりは、納得としたというか現状把握できたというのか。ユーに至っては早々に空気を呼んで名前から距離を置いたというのに、何故こんなに気付くのが遅いのだろう
「何なんですかホント!他の人と話してたら虫飛ばしてくるわ頭殴ってくるわ!しかも本人はあれ小突いただけとか言ってくるんですよ!?2メートルも吹っ飛ばされるようなもののどこが小突くなんですか!レベルが違いすぎます!!」
「大変だったな」
「全くですよ!そこら辺のモブ共はトミー様に怖気づいてとっくの昔から私を避けてくるし、トミー様は何がしたいんですかねっ」
「すまん、誤解を与えたようだな」
「へ?」
「大変だったというのは、トミーロッドのことだ」
「………はい?」
「だから、あのトミーロッドがそこまでするのは大変だったのだと、言っている」
「…えと、え?あれ?どういうことで、」
「みーつけたー」
びくりと目前にいる名前の肩が跳ねる。話の話題となっていた人物なのだから仕方がない。トミーロッドの表情は、機嫌が良いとは言い難い。振り返りトミーロッドの姿を視界に入れて再び名前の肩が跳ねるくらい、不機嫌なのは一目で分かる。だが、名前には理由が分からないだろう、その理由を。恐らく、今日までは
「ねー、ちょっと話があるんだけどいいかな?」
「え、私今ちょっとスター様とお話が…ですよねぇ?」
「すまないが私は仕事があるのでな。後は好きにしろ」
「スターが許可出す立場じゃないよね…」
「ちょちょ、私を捨てるんですかスター様!?」
背後から聞こえる名前の声を聞きながら、トミーロッドの今までの行動を振り返る
名前のことが気になり始めたが、周りには親しい部下や同僚がいる
自分が声をかけたら怯えるくせに、セドル等とは対等に会話している
それに苛ついて、どうにかこうにかして、邪魔者を排除した
どうして名前にそのような行動をとったのか。それは只、己より仲の良い奴がいてほしくないという嫉妬なのだと、おそらく今から、嫌というほど思い知るのだろう
結果はどうなるか分からないが、良い方向へ向かうことを、一人の同僚として願おう