大好きな、君と


□きゅんって音がするらしいです
1ページ/1ページ






 「ズキューン!」


 あぁ、また始まった。


 「エイジ、今日も元気いいね」

 「はい!元気です!」


 この子供みたいな笑顔可愛いなぁ。
 私はいつもこのエイジの笑顔に元気
 を貰う。なんだか、親の心境だ。

 だけど、私はこのままじゃいけない
 とそろそろ思い始めている。

 それは私がエイジに恋してるから。


 「エイジ、そろそろ休憩しない?」


 私が毎日行っているこのセリフ。
 今となっては次にどんなセリフがか
 えってくるのかわかる。


 「まだマンガ描いてるのでいいです」


 ほら、やっぱり。
 エイジはマンガを描き終わるまで絶対
 に休憩をしようとしない。…それだけ
 ならまだいい。


 「最近寝たのいつ?」

 「3日前ですケド」


 さすがにこれは勘弁してほしい。マン
 ガを描くことに熱中できるのは素晴ら
 しいことだと思うけど、休憩もしない
 し睡眠も取らないってかなり身体に悪
 いと思う。自分の知らないうちにスト
 レスとかかなりたまってると思う。


 「…大丈夫なの?」

 「大丈夫ですよ、マンガ描くの楽しい
 ですし」


 そう言いながら鉛筆をせわしなくカリ
 カリと動かしているあたり本当に大丈
 夫なのだろう。

 なんか…マンガに妬けてくるなぁ。
 こんなことって本当はおかしなことな
 んだろうけど。


 「エイジにとってマンガって何?」

 「職業であり大好きなことです、シュ
 ピピピピピーン!」

 「へぇ、じゃあ私は?」


 口から突然出たソレに私は驚いた。
 それと同時にかなり後悔した。
 何とか言い訳をしてその場を免れよう
 と思ったけどパニックになっていい言
 い訳が思い浮かばない。


 「全てですケド」


 私がパニックになっている間にエイジ
 は何のためらいもなくそう言った。


 「全てってどういうこと?」

 「名前さんのいない人生なんて考
 えられないということです。名前がい
 るからこそのボクだと思います」

 「…え、つまりどういうこと?」

 「名前さんが好きです」


 そう言ってやっとマンガを描く手を止
 めて私の方を見るエイジは、さっきま
 で子供のような笑顔をしていたエイジ
 とは思えないほど真剣で大人っぽい表
 情をしていた。


 「それって……恋愛感情だよね?」

 「もちろんです」


 ただ、嬉しかった。
 エイジが私を好きだったこと。
 何もかもが。


 「私も…好きだよ?」

 「……なんだか、きゅんときたです」


 少しだけ顔を赤くしながら胸に手を当
 てるエイジ。
 その表情に私もきゅんときて今にも心
 臓が破裂しそうです。






 きゅんって音がするらしいです
 (それは恋が始まるピストルの合図)

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ