大好きな、君と


□恥ずかしくないんですかそういうの
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 「ボクさ名前のこと嫌いなんだよね」

 「え、」


 私はただ驚いた。
 トミーが私のことを嫌いだったとかそ
 んなことはどうでもいいとして。


 「本人を目の前にして言うことなの?」


 別にトミーに好かれてるなんて思って
 なかったし、好かれるようなこともし
 てなかったから嫌われてても別にいい
 んだけどね、だからと言って目の前で
 嫌いと言われるとは思っていなかった。


 「名前はボクに嫌われたいわけ?」

 「…別に?」

 「じゃあ何なんだよ」

 「え、何の話?」


 トミーが何を言いたいのか私には全く
 わからなかった。私が気づかない間に
 トミーを傷つけていたのか?


 「ボクの部屋に来る前になにした?」

 「んーと、……あ」


 虫よけスプレーだ。
 しかも、寝てる時は蚊取り線香だって
 してたからその匂いもついているかも
 しれない。


 「ごめんね?」


 トミーが虫よけスプレーが無理だった
 ことに内心驚きながら謝ってみた。


 「チッ」

 「舌打ちしなくてもいいじゃんかー」

 「名前が悪いんだろ」

 「謝ったじゃんっ」

 「バカが」

 「ひどーい、泣いちゃうよ?」


 両手で顔を隠して泣く真似をしてみた。
 男は女の涙に弱い。どんなに酷いトミ
 ーだって女の涙を目の前にしたらどう
 にかなると思うんだよ。

 …そう思った私が馬鹿だった。


 「とりあえず、早く出て行ってよネ
 お前がいるだけでイライラする」





 恥ずかしくないんですかそういうの
 (いい大人が女の子をマジ泣きさせるなんて)
 (泣き顔ブサイクだね)
 ((この野郎…!))


 

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