白い悪魔

□月夜に見守られながら
1ページ/1ページ







 夜の街は、つい1週間ほど前まではお
 正月の盆栽やらしめなわがでていてに
 ぎやかだったなんて思えないほどシン
 としていた。そう感じるのは、1月の
 寒さとも多少関係はあるだろう。

 パジャマに着替えた名前は昔から大切
 に使っている本棚へと近づいた。
 本棚にはずらっと本が綺麗に並べられ
 てあり、小説や漫画などさまざまなジ
 ャンルのものがある。

 そこから1冊本をとるとベッドへ行き
 パチンと傍にある灯りをつけた。

 最近では夜に本を読んで眠りにつくこ
 とは日課になっていてひそかな楽しみ
 でもある。


 今日はデスノートか……。


 パラパラとページをめくるとあるペー
 ジでそれは止まった。そこは私が何度
 も何度も読み返したメロの最後。

 ハウスでいつも2番だった彼はニアに
 勝ちたいと思う一心で命を落としてし
 まう少年。
 さまざまな個性的なキャラクターが出
 るこの作品の中で私はメロが1番好き
 だった。今度こそニアに勝つと信じて
 いた私はメロが死んだことをなかなか
 うけとめられないで何度も何度も読み
 直していた。


 「死んでほしくなかったな…」


 でも、メロが死ななければニアも月に
 完全に勝利することはできなかったし
 デスノートによる被害者はもっと出て
 たかもしれない。
 いろいろ考えるときりがないのは分か
 っているけれど、やっぱりメロに死ん
 でほしくなかった気持ちだけは変わら
 ない。


 ふわぁ、大きな欠伸がでたことで本を
 閉じる。近くにあった灯りへと手を伸
 ばして消す。真っ暗になったのを確認
 して布団の中へと入りそっと目を閉じた。




 月夜に見守られながら




 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ