Clap log

□猫のような君に恋
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 「今晩、帰国します」


 ノートパソコンに映る真っ白な画面の
 中にポツンと書かれてあるNの文字。


 この間、いきなりアメリカに行くなん
 て言ったっきりだから今はアメリカに
 いるのか…。
 あれ?イギリスだっけ?
 どっちでもいいや。

 あなたがいないことには変わりないの
 だから。


 「いきなりすぎない?」


 こっちにだって、こっちの用事がある
 んだよ。

 ……なんて、今すぐにでも会いたいくせ
 に強がりを言ってみる。

 どうせ、今すぐ会いたいだなんて私しか
 思ってないんだから。
 こんな強がりを言ってもいいでしょ?


 「そうですか、わかりました」


 パソコンから聞こえるニアの声は、やっ
 ぱり何を考えてるのか全く分からなくて


 「……私、徹夜明けだから寝たいんだけ
 ど」


 イライラしてしまうんだ。


 「そうですか、残念です」

 「…何が?」

 「お土産を渡したかったのですが」

 「……また今度渡して」


 どうやら、ニアは私がお土産で機嫌を直
 してくれる女だと思っているらしい。

 実際、お土産に釣られそうになったとい
 うことは内緒だけど。


 「もう1つ」

 「なに?」

 「あなたの家の前にいます」


 カーテンを開いて外を覗くと明らかにそ
 の場から浮いている黒のベンツがあった。


 「眠たいなら仕方ありません、また今度
 出直します」

 「嘘つき、今晩帰国するって言ったのに」

 「アメリカでは今は夜です」

 「……」


 これは完全にやられた。


 「で、どうするんです?」


 なんて答えなんかわかりきってる質問を
 あなたがするから"今すぐ会いたい"なん
 て素直に言えるはずもなく。


 「ニアはどうしたい?」

 
 あなたに答えを求めると。


 「あなたを今すぐ抱きしめたい」


 なんて、口説き文句を言うから。


 許してしまうんだ。



 猫のような君に恋
 (甘えたいときだけ甘えてきて、
 可愛くないやつ。だけど、そんな
 君がすきなのも事実なわけで。)

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