トミーロッド

□ポッキーゲーム
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「トミー、ポッキーゲームって知ってる?」

「は?なんだよソレ」


雑誌をペラペラとめくっていると見つけたこのページ、"彼氏としてみたいこと特集!"。
この特集のランキング1位になっていたのがポッキーゲーム。
もちろん、私の目の前にいるこのカラフルな頭をした奴が私の彼氏なんだけれども。

付き合ってから恋人らしいことしてないんだよな……。
これが今の私の悩みだったりする。


「恋人がポッキーを両端からくわえて食べて、先に口を離したほうが負けっていうゲームだよ」

「ふーん」


ふーんって……。
興味ゼロですか。
意外と傷つくなあ…。


「……ポッキー、取ってきな」

「……え?」

「やりたいんだろ?ポッキーゲーム」

「う、うんっ!」


勢いよく立ち上がると「うるさい」って睨まれたけど気にしない。
急いで棚から引っ張りだしてきたポッキー。
それは、セドルがおやつ用に買っておいたやつ。

いつもは、私の目を取ろうとするから大嫌いだったけど今日だけはセドルに感謝だ。

ポッキーを抱えてトミーのいる部屋まで帰るとまた「うるさい」って睨まれた。
しかし、今の私はそんなことじゃ怯まない。
ルンルンで袋からポッキーを1本取り出してくわえるとトミーのニヤリと笑った顔が近づいてきた。


その時、私は気づいてしまった。




パキッ……




「は?何やってんの?」

「だ、だって………トミーが…」


目の前には不機嫌そうなトミーの顔。
床には私が一口だけ食べたポッキーが転がっていた。


「ボクが、何だよ」

「蟲出そうとしてたでしょっ」

「あ?してねーよ」

「うそだ!」


トミーがあの顔をするときは必ず私に意地悪をするときって決まってる。
ポッキーゲームしてる最中に蟲を出されるなんて冗談じゃない。


「やっぱり、トミーとはポッキーゲームしないしっ」

「あっそ、ボクはそれでもいいけどね」


それじゃあ、ボクの勝ちってことで。そう呟いてトミーは立ち上がった。


いやいや、
待ってくださいよトミーさん。
ってことは、私。
不戦敗ってことですか?


「そういうことになるんじゃねーの」

「……も、もう1回チャンスを…」

「いいよ、どっちにせよボクが勝つだろうけどネ」



ポッキーゲーム
(パキッ……パキッ……)
(ほらね、ボクの勝ち)







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