トミーロッド

□血濡れの恋心
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 「そろそろやめたらどうだ」


 気が付いて最初に聞いたのがスター
 のこの一言。

 現状が理解できなかったボクはスタ
 ーを見つめるとスターはボクの手元
 へと視線を落としていた。
 それが合図だったかのように手にず
 しりときた重み。

 ゆっくりとボクも視線を下へと下げ
 ると、その正体は"赤"だった。


 「もう死んでいるんだ、離してやれ」


 死んでいる…?
 あぁ……
 さっきまで人間だったんだ、コイツ。
 アレ、なんでボク殺したんだっけ?
 まぁ、いいや。


 手をパッと放すと床にべチャッと酷
 い音を立てて転がる"赤"。
 なんとなく蹴ってみると壁にグシャ
 と音を立てて張り付いてしまった。


 「ひっ…!」


 声のした方をゆっくりと向くとスタ
 ーの背後に隠れる名前の姿。


 なんで、そんなとこいるのアイツ
 ムカつく、ムカつく


 「トミー、名前は普通の人間な
 んだ。あまり怖がらせるな」

 「あ?なんでスターに命令されなきゃ
 ならないわけ」


 ほら、早くこっちに来いよ名前
 スターなんかに抱き着きやがって 
 あぁムカつく


 「だいたい何故名前の仕事の邪
 魔をするんだ」

 「仕事の邪魔?」

 「名前の仕事仲間を次々と殺し
 ていると報告がきているんだが」


 あぁ、そういえば。
 名前と楽しそうに話してる奴が
 いてムカついたから殺したんだっけ。
 忘れてた。
 …それよりさー


 「さっきからそこで何してんの名前?」

 「は、はいっ……」

 「そんなとこいないでこっちきな」


 イライラしてるボクを見て名前は
 スターをちらりと見るとゆっくりと近
 づいてきた。

 はぁ…
 スターのため息が聞こえる。

 なんなのソレ。
 ため息つきたいのボクの方なんだけど。


 「スター、次から名前と離すの禁
 止ネ。あと、名前に触れるのも」


 じゃないと"赤"みたいにしちゃうから。





 血濡れの恋心
 (ムカつくんだよネ)
 (名前に何かしていいのはボクだけでしょ?)



2012/11/16

 

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