小説

□素直な気持ち
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「やっと終わった…」
情報屋こと折原臨也は夕方の池袋をフラフラ歩いていた。
(体はだるいし、少しボーっとするし…風邪引いたな)
なぜ体調が悪いのに外にしかも池袋に来ているのか。それはただ単に仕事があったからだ。
簡単な仕事だったが具合が悪いため、少し時間がかかってしまった。
(シズちゃんに会いたくないな…)
シズちゃんこと平和島静雄は池袋にいる。過去の事があるため、臨也を見つける度に何か物を投げてくる。
そう例えば―今臨也に向かって飛んできたものとか。
ゴッ
「ぐっ…!!」
臨也は受け身もとれず数メートル先のディフェンスにぶつかった。
ガシャャャンッ ガンッ

くらくらする頭を抑え、前をみた。横に転がっている自販機。
そして静雄の姿があった。
「臨也ぁ…手前、池袋(ここ)には来んなって言ってるよなぁぁ!!」
額に血管を浮かばせタバコの火を消しながら近付いて来る。
「俺だって来たくてきてるんじゃないよ…」
ぼそりと呟くと聞こえてたらしく更に血管を浮かばせる静雄。
「あ゛ぁ!?」
そんな静雄に目もくれず臨也は途切れ途切れに言った。
「本当に…今回は、勘弁してよ……」
(ヤバ…熱上がってきたかも…)
その様子に気付いたらしく
「手前ぇ、熱でもあんのか?」
不思議そうに尋ねてきた。
「はっ…あるように見える?シズちゃんの相手、するのが…疲れただけだよ…」
臨也は意地を張って嘘をついた。
(シズちゃんだけには…弱い所を見せるわけにはいかない)
重たい体を無理やり動かし立ち上がった。視界は少し霞んで見える。袖口からナイフを取り出し、静雄に向かって走り出した。
そしてそこで意識が途切れた―――

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