木ノ風
□始まり
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文久三年
『梅の花ー。一輪咲いてもー……ここの団子おいしいね。娘さーん!お茶おかわり♪』
生まれて初めて訪れた京。
私は一番最初に茶屋へ向かっていた。
京菓子というものを食べてみたかったし。
お腹へってたし。
第一に…“その時”まで時間がまだあるし。
「――――――…////(ボー」
『…娘さん?』
Σ「…え!? あ、す、すみませんっ!今、お持ちします!////」
『気にしないで良いよ。こちらこそ考え事の最中に申し訳ない(ニコ』
「っ!/////」
店の娘に笑いかけると、彼女は慌てて奥へ走って行った。
まだ寒いからかあの子顔が赤いけど…風邪とか流行ってるのかな。
『――――…に、しても…』
さすが京。 人が多い。
ちらりと路へ目を向けると、大勢の人々で溢れかえっている。
なんだか自分の周りに人が集まってるような気がするけど……気のせいだと思いたい。
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