『灰色の運命』

□第16話 反抗の凱歌
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シン「…朝…か…。」

シンはあの後、デスティニーのコクピットの中で眠りに就き、そして朝を迎えた。

シン「さてと、行くか。GNシステム、リポーズ解除、外壁部迷彩皮膜解凍。」

デスティニーは光学迷彩を解凍し、そのマスクセンサーに隠されたツインアイを光らせた。

シン「デスティニー、出る。」

デスティニーはウイングユニットを展開し、空へと飛び立った。

シン「そういえばあれ…、もしかしてダブルオーライザーが近くにいるのか?……いや、今はトレミーを捜そう。」

デスティニーは飛ぶスピードを上げた。

シン「クソッ! トレミーは一体何処に?!」

デスティニーは急造とはいえ、超長遠距離から巡洋艦を捉える能力を持つマスクセンサーでプトレマイオス2を探していた。

ピピッ!

シン「ッ! トレミーか?!」

暫しの間プトレマイオス2を捜していたデスティニーのセンサーは何かの反応をキャッチした。

シン「!? これって…?!」

デスティニーがキャッチしたものは、『アロウズのMS隊』だった。

シン「アロウズ!? こんな大群で……ハッ! まさかこの先に…?!」

シンはアロウズに気付かれない程度の距離を保ち、行動しながらそのMS隊に付いて行った。
幸い、彼方のセンサーより、『急造の』マスクセンサーの方が勝っており、相手に気付かれる事は無かった。

シン「航空機が1機で、MSの数は36機。あの新型のMSとか、MAまで…! 総力戦でもするつもりか…!」

シンは逸る気持ちを抑えながら付いて行った。
シンの立てた作戦はこうだ。
プトレマイオス2は恐らく動けても武装が使えない可能性がある。
しかも相手は圧倒的な数で攻めてくる。
ならばケルディムはトランザムで相手を先制攻撃。
トランザム終了後の粒子チャージの間にアリオス、セラヴィーで迎え撃つ。
そしてデスティニーはその間にハイパーモードとトランザムを同時使用し、GNビームウイングソードで敵航空機の翼を斬り、GNバスターソード改でMAを叩く。
これがシンの立てた作戦である。

シン「問題はトランザムの発動時間だな…。」

シンはトランザムの発動時間を20セコンドに設定した。
幾ら一度目の同時使用で(吐血はしたものの)耐えれたとはいえ、相手は36機、ここで自分が意識を失えば足手まといにしかならない。
トランザムの発動時間の設定はその為の保険なのだ。

ドゥンッ!

シン「ッ!」

突如MS隊にビームが襲った。

シン「これは…ケルディム!」

シンの読み通り、トランザムを使用したケルディムが攻撃したのだ。

シン「ケルディムがトランザムを終えて、アリオスとセラヴィーが出てきた時だな。」

デスティニーは待機し、時を待った。

シン「…なっ?!」

それから、ケルディムのトランザムが終了し、アリオスとセラヴィーが攻撃していた時だった。
新型のMA───エンプラスのエグナーウィップがセラヴィーとアリオスを捕らえたのだ。

シン「何やってんだ?! だけど、チャンスはこれしか! ハイパーモード&トランザム!!」

デスティニーはハイパーモードとトランザムを同時使用し、超加速を行った。

シン「ぐっ…ううっ…───ッ?!」

シンは強力なGを受けたが、そこで『異変』に気付いた。

シン「(何だ…?! 意識が…『普通』…?!)」

シンは身体はGによって悲鳴を上げているが、意識だけは何故か正常な事に気付いた。

シン「(だけど、やるしかない!)うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおッッ!!!」

シンは叫び、デスティニーのGNビームウイングサーベルは航空機の翼を斬った。

シン「おおおおおおおおああああああああああああッッ!!!!!!」

そして、デスティニーはエンプラスにGNバスターソード改を降り降ろし───

ザン…ッ!!

エンプラスはGNフィールドを展開する間もなく、右半分を真っ二つにされた。
発動からエンプラスを斬るまで、僅か5秒だった。

シン「まだ…まだぁッ!!!」

デスティニーは後ろに回転し、左手のGNビームライフルを乱射した。

ドガッ!

リヴァイブ「なっ…?!」

一発のビームがガデッサの右肩を直撃し、ガデッサは右腕を損失した。
更に、乱射しているにも拘らず、ビームの大半は命中し、直撃を受けて撃破されるMSもいた。

カティ「クッ!? クジョウ…やる…!」

航空機は片方の翼を失い、落下寸前だった。

コーラサワー「クソォ! ガンダムッ!」
カティ「なるべく機体を安定させろ!」
コーラサワー「了解しましたぁ!」

コーラサワーの操縦で航空機は何とか安定を保っていた。

カティ「(まさか挟み撃ちを仕掛けるとは…クジョウ、お前もやる…!)」

だが、デスティニーは偶然このアロウズの部隊を見付けて付いてきたというのは知らない。

ピピッ

カティ「司令部からの緊急暗号通信?……なんだと!?」

カティはその暗号通信に驚愕し、MS隊に撤退命令を出した。

シン「がはっ! ぜぇ…! ぜぇ…! 何だ…!?」

シンは吐血しながらも撤退するMS隊を見た。

カティ「ク…クーデター…? 軌道エレベーターが…占拠されただと?」

その通信は、『アフリカタワーがクーデターによって占拠された』という内容だった。
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