G00D外伝 『義翼の鳥』

□プロローグ
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海上

ユニオン軍艦


今、一人のパイロットスーツ姿のユニオン軍兵士が飛行形態のフラッグの前に立った。

「フッ、『あの人』に一歩近付いたか…」

その兵士はフラッグをいとおしそうに触った。
その兵士の名は『飛鳥龍義』。
年齢は18にして、少尉の階級を持つ、類いまれなる才能を持つ『フラッグファイター』だ。

龍義「大切な者を守れる為の力、俺はそれを以てこの空を飛ぶ。このフラッグと共に。」

龍義は『義手』である右手を空に向け、その手を広げ、そして、握り締めた。
因みに、『あの人』とは、無論グラハム・エーカーのことだ。
グラハムとはかつて幾度か模擬戦を行い、龍義は惜しい所で負けているのだ。

龍義「『ミユ』、俺は親父と叔父が共に飛んだこの空を飛ぶ。」

ミユとは、龍義の従妹で、名字は玲で、年は10。
龍義の父親と心優の父親は兄弟であり、戦友として空を飛んでいた。
因みに叔父の名字が父親とは違う理由は、経済的な理由から、叔父が養子に出されたことがその理由である。
因みに、ミユの母親はフランス人である。
だが、6年前に故郷の日本で自動車事故に合い、龍義の両親とミユの両親は共に死亡し、龍義も右腕を肩から先を失い、2年前にユニオン軍に入るまで、ずっと左腕一本で心優と共に生きてきた。
そのため、利き手は実質的には左利きになっている。
それはパーソナルマークにも現れており、右の翼が機械的なデザインになっている。

龍義「…さて、行くとするか。」

龍義がそう呟いた直後、スクランブルのサイレンが鳴った。
龍義には人より『勘』が鋭く、その鋭い勘と類い希なる才能、そして涙ぐましい努力によってフラッグファイターの称号を勝ち取ったのだ。

龍義「相手は?」

龍義はフラッグのコクピットに乗り、通信を行った。

『ヘリオンが3機です。』
龍義「ヘリオン? AEUのばら蒔きか…」
『発進どうぞ!』
龍義「飛鳥龍義、フラッグ出る!」

龍義のフラッグは高らかに空に舞い上がり、先行していたリアルド部隊を追い抜いた。

龍義「あーあー、そこの所属不明機、ここはユニオンの領域だ。今すぐ引き返せ。」

龍義は3機のヘリオンにユニオン領域からの撤退を要求した。
だが、3機のヘリオンからの返答はなく、その代わりに───

龍義「再度通告する。今すぐ引きかえ───ッ!?」

龍義の『勘』が危険を感知し、操縦悍を名一杯動かした。
フラッグがいた所にヘリオンの攻撃が通過した。

龍義「…それが返答か。此方、ヘリオンの攻撃を受けた。発砲許可を。」

3機のヘリオンは散開し、まるで肉食獣の様にフラッグに詰め寄った。

龍義「取り囲まれた?! だが、その程度ではこのフラッグを落とせはしない!」

龍義は操縦悍を押し込み、フラッグのバーニアが火を噴き、ヘリオンの檻から脱出した。

ピピッ!

『発砲許可が降りました。』
龍義「その言葉を待っていた!」

龍義はそう言い、フラッグは反転してヘリオンに迫った。

ガシャッ!

「!?」

ヘリオンのパイロットは驚愕の光景を目の当たりにした。
目の前のフラッグが変形したのだ。

龍義「ぐくっ…! これが、グラハム・マニューバ!」

変形したフラッグは変形した反動を使い、1機のヘリオンの上を取り、バーニアを撃ち抜いた。

龍義「次!」

フラッグは更にもう1機のヘリオンのウイングを全て撃ち抜いた。

龍義「ぬるいな。」
「くっ…クソォ!!」

残ったもう1機のヘリオンはフラッグに突撃した。

龍義「その程度!」

フラッグは空いてる右手にソニックブレイドを持ち、刃をプラズマソードにし、ヘリオンの右半身を両断した。

「うはっwwwww すげぇwwwww」
「あいつ18だよな?! な?!」
「ハハッ! こりゃ楽しみだな!」
「おい! さっさと回収しろ! 生命反応あるぞ!」
龍義「何やってんですか?」

フラッグは右半身を両断したヘリオンを海面を引き摺るようにして運んでいた。

「うぇwwwww エゲツねぇwwwww」
「容赦ねぇなおい!」
「うはっwwwww あれやられてみてぇwwwww」
「ドMかよお前?!」
「嘘だしwwwww」
「嘘かよ!」
「だからさっさと運ぶぞ貴様ら!!」
「コイツうぜぇwwwww」
「撃ち殺すぞ貴様!!」
「階級俺より下のクセにwwwww」
「ぐっ…!」
龍義「…ハァ…」

龍義は彼らの言い合いに溜め息を吐いた。
その後、3機のヘリオンは、龍義の指摘通り、AEUが『ばら蒔いていた』機体であった為、AEUは非難を受けたのはいうまでもない。
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