『灰色の運命』2

□第33話 デスティニープランと暗躍者
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デュランダル「デスティニープランは、我々コーディネーターがこれまで培ってきた遺伝子工学の全て、また、現在、最高水準の技術をもって施行する究極の人類救済システムです。」

其処でCMが入った。
ただ、CMはデスティニープランにアニメで簡潔に教えているCMだった。
そしてCMが終わり、再びデュランダルが映った。

デュランダル「人はその資質の全て、性格、知能、才能。また、重篤な疾病原因の有無の情報を本来体内に持っています。まずそれを正確に知ることが重要です。今のあなたは不当に扱われているかもしれない。誰も、あなた自身すら知らないまま、貴重なあなたの才能が、開花せずにいるのかもしれない。それは、人類全体にとっても非常に大きな損失なのです。私達は、自分自身の全てを、そして、それによって出来る事をまず知るところから始めましょう。これは、あなたの幸福な明日への輝かしい一歩です。」
一同「………」
シン「…議長は本気でこれを…?」

シンはレイを見た。

レイ「ああ、議長は本気だ。議長は、誰もが幸福に生きられる世界。そして、もう二度と戦争など起きない世界。それを本気で造ろうとしているのだ。」
スメラギ「だけど、全てを遺伝子だけで判断するのは…」
ロックオン「後天的な部分はガン無視か。」
アレルヤ「…銃だけに?」
ロックオン「何でだよ!」
リジェネ「だけど結構面白い事をするね。…そうだ、これを応用してイノベイターの因子を持つ者達を捜すというのも面白いかもね。」
ロックオン「お前は何を言ってんだ?!」
レイ「…それでも、デスティニープランを行わなければやがてはこの世界は滅ぶ。」
シン「レイ…」
レイ「…デスティニー…」
シン「ん?」
レイ「デスティニーと、シン・アスカ。これが、『新たな世界を守る力』になる筈だった。」
シン「…!?」
レイ「だから…!」

レイはシンの両肩を掴んだ。

レイ「頼む…シン…! この世界を…新たな世界を…守ってくれ…!」

レイは顔を俯き、本音を吐き出すように言った。

シン「………」

シンは悲しそうに微笑み、自分の肩を掴むレイの手をそっと掴んで離した。

レイ「!?」

レイは顔を上げた。

シン「悪いな、レイ。向こうの世界にはまだまだやるべき事があるんだ。」
レイ「ッ……」
シン「それに、俺はこの世界じゃほぼ『死んだ扱い』だろ?」
マユ「あ…!」
レイ「はっ!」
シン「だから、それは無理だな。」
レイ「……!」

レイはその場で立ち尽くした。

シン「皆、重大な話がある。」

シンは皆を見渡しながら言った。

シン「レイから話を聞いて、あのザフト部隊を壊滅させた擬似太陽炉搭載機が分かった。」
スメラギ「…!」
アレルヤ「なんだって?」
シン「……」

シンは少しだけマユを横目で見て、そして言った。

シン「…フリーダムだ。」
皆「!」
リジェネ「フリーダム?」
刹那「青い翼のMS…」
マユ「青い翼の…あっ!」

マユは記憶の片隅に追いやったフリーダムを思い出した。
因みに刹那は『ガンダム』ではなく、『MS』と言ったのは、刹那の『ガンダムセンサー』に反応しなかった上に、『あれがガンダムだと? ふざけるな。俺はあれをガンダムとは認めん。』と言ったような言ってないような…

マユ「…ッ!」

マユは右腕の義手の部分を握り締めた。

シン「………」

シンはそんなマユを横目で見て、手を握り締めた。

ロックオン「…つまり、なんだ? 俺達の他にもこの世界に来た奴がいるってことか?」
アレルヤ「そうとしか考えられない。」
刹那「この世界にGNドライヴは擬似であっても紛争を起こすには十分だ。」
スメラギ「確かにね。この世界は核動力があるからそれと組み合わせれば…」
シン「フリーダムは核動力です。そうなると…」
ラッセ「ほぼオリジナルの太陽炉と一緒かよ。」
刹那「ならば破壊する。それが、俺達CBの役割だ。」
アレルヤ「だけど、もし技術を与えたとしても、ある程度の施設が無ければ…」
レイ「…『ファクトリー』だ。」

レイはアレルヤの問いに答える様に静かに言った。

アレルヤ「ファクトリー?」
レイ「あの施設はクライン派の人間が掌握している。彼処なら人知れずフリーダムにそのGNドライヴを搭載させるにはもってこいだろう。」
刹那「技術が広まる前にファクトリーを破壊する。」
ロックオン「だけどこの広い宇宙だぜ? どうやって探すんだよ?」
レイ「…レジェンドのデータにファクトリーの位置情報がある。」
ロックオン「何?」
アレルヤ「そんな情報が…?」
レイ「俺は議長に一番近い存在だ。そのデータ位はある。」
シン「レイ…どうして…?」
レイ「フッ、全ては議長の目指す未来の為だ。ラクス・クラインとフリーダムのパイロット、キラ・ヤマトさえ倒せれば、議長の望みは果たせられるのだから。」
ラッセ「…なんか、とんでもねぇ事になってきたぜ?」
スメラギ「それでも、やるしかないわ。私達の目的はこの世界で造られたGNドライヴを破壊する事よ。」
ラッセ「…そんじゃ、ボチボチ準備でも始めますか。」

一同はそれに頷き、各自持ち場に向かった。
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